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【07.07.08】国民年金記録─55市町村(87%)が何らかの形で保管

日本共産党愛知県委員会が調査結果を記者会見

 日本共産党の調査で、愛知県内の55市町村が国民年金の記録をなんらかの形で保管していることがわかりました。日本共産党愛知県委員会の八田ひろ子副委員長・前参議院議員は2日午後、愛知県庁内で記者会見し、63市町村のうち55が記録を保管しているとの調査結果を示し、「消えた年金」の不安払しょくと解決のために記録の開示など積極的な取り組みを市町村に求める「よびかけ」を発表しました。記者会見には同県委の林信敏自治体部長・元県議が同席しました。

保管義務はずす

 調査結果は、同県委員会自治体部が6月、主に同党市町村議員団を通じて国民年金記録(被保険者名簿)の保管、開示、年金相談について市町村に聞き取りしたもの。
 被保険者名簿には、氏名や年金保険料の納付状況が記載されています。2002年3月まで市町村がおこなっていた国民年金保険料の収納事務が同年4月から社会保険庁に移管されたのにともない、市町村の記録の保存・管理義務がはずされました。公明党の坂口力厚生労働大臣の時です。

55市町村が残っている

 県内63市町村のうち、国民年金の記録が「残っている」と答えたのは55の市町村。
 記録は、手書きの原簿、マイクロフィルム、コンピューターデータと様々な形態で保管されています。市町村が国民年金保険料の収納事務をおこなっていた1961年度から2001年度までのうち、一部しか保管していないところもあります。「1961年4月から10年ほど残っている」(蟹江町)、「61年から70年までがない」(日進市)、「89年7月まで1万5千件がある」(岩倉市)と答えています。
 市町村合併の際、記録を廃棄処分したところもあるようです。「残っている」と答えた豊田市の場合、合併前の「旧町村の記録はない」と言います。稲沢市は「旧平和町分は不明」と答えています。

7市町─「残っていない」

 「残っていない」と答えたのは、愛西市、清須市、長久手町、阿久比町、御津町、設楽町、東栄町の7市町。
 しかし、まったくないわけではないようです。愛西市は「2001年度のみ旧佐屋町、旧佐織町の分が残っている」と言います。
 「倉庫から出して調べる」(岡崎市)、「調査中」(豊川市)と言う自治体もあり、今後の探索で記録が発見される可能性もあります。
増える相談
 記録が「残っている」と答えたほとんどの市町村は、本人に記録を開示する姿勢です。瀬戸市は国保年金課が窓口となり、本人確認できる免許証などの身分証明書があれば開示請求に応じるとしています。
 名古屋市は記録をマイクロフィルムに収録して市役所に保管しています。しかし「市の記録は社保庁の記録の補完」との位置づけで、社保庁の問い合わせには応じるが、本人には見せない態度です。一宮市も「社保庁から照会があれば社保庁に回答する」と本人開示に消極的です。
 年金相談は46市町村で実施しています。相談日を設け、出張した社会保険事務所員らが相談に応じています。相談は増えています。岩倉市では「1週間に3百人以上」あったといいます。

被害者、一人も残さず

 この日の記者会見で八田さんは、国の責任で「被害者を一人も残さず、一刻も早く解決」すべきだと強調。市町村にたいし?市町村の広報紙やホームページなどで年金記録を保管していることを住民に知らせること?年金記録を本人に開示すること?役場に「消えた年金」問題の特別の相談体制を設けることの実施をよびかけました。
 愛知県委員会は市町村長に「よびかけ」を届けるとしています。