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【06.12.17】自動車道建設 中枢港湾整備 多額補助金 トヨタのための県政

12月17日「愛知民報」

 あべ精六さん(知事予定候補者)は今の県政は「トヨタを初めとする大企業の影響が見え隠れする県政」と指摘しています。大企業と県政の関わりを取材しました。

 愛知県の公共投資の中心は、「道路の上を福祉が走る」といわれるように道路づくりです。同時に、「すべての道はトヨタに通じる」といわれるように、トヨタの生産拠点、流通拠点、交流拠点を結ぶ幹線自動車道路づくりが特徴です。

 愛知万博の時に開通した東海環状自動車道は、美濃地方のトヨタ系部品メーカーがトヨタの工場にジャストインタイムで部品を納入する「走る倉庫」となっています。

 「国際競争力を高めるために」と名古屋港の中枢港湾整備の中核になる飛島南コンテナターミナルは860億円の整備費が計上されました。名古屋港管理組合がトヨタの所有地を44億円で買い上げてつくります。ターミナルを運営するふ頭株式会社の中心企業はトヨタが100%出資した「飛島物流サービス」で、主要な取り扱い貨物はトヨタ自動車関係の部品です。「スーパー中枢港湾」整備というのは、愛知の本社工場とアジアの現地工場を結ぶトヨタの物流ネットワークづくりといえます。飛島南コンテナターミナルと豊田市をむすぶ第2東名・伊勢湾岸道路は、トヨタの「荷出し道路」と呼ばれています。

 さらに、「高度先端産業立地促進補助金」としてトヨタ自動車の本家、豊田自動織機に2005年度から07年度にかけて合計7億9690万円の補助金をはずみます。
 道路、港湾、空港、いずれも公共的役割が強調されますが、実質は、巨額の公的資金を投入し、グローバル化するトヨタの企業活動を支援する役割を担っています。

ツケは県民に 林のぶとし前県議指摘 

 11月26日に開かれた第23回トヨタシンポジウムで講演した、日本共産党の林のぶとし前県議は次のように話しています。

 トヨタの好調さは、コスト削減とグローバル戦略、これを支援する自民党政府の「構造改革」路線のもとでなされたものです。その結果は県内製造業の事業所が淘汰され、不安定雇用と低賃金が広がり、物づくりの基盤が脆弱になっています。トヨタの繁栄は、県民犠牲で生み出されています。
 自動車道路づくりなど大型インフラ整備は「100年の大計」といって採算無視でつくられますが、資金調達のために、国と県の借金が膨らみ、そのツケは庶民増税や社会保障改悪となって国民・県民に回されています。「道路の上を福祉が走る」ではなく、「道路が県財政を食い荒らし福祉を破壊する」状態になっています。