愛知民報

【17.09.03】豊橋市の生活保護費過支給問題 市のミス、返還請求は違法 愛知県生活と健康を守る会連合会会長 浅田光治

 豊橋市は7月26日、生活保護受給者が追加で受け取れる障害者加算の計算を誤り、過大に支給していたことを明らかにしました。25世帯1530万円のうち、時効になっていない5年分880万円の返還を保護受給者に求めています。
 市当局は8月1日、愛知県生活と健康を守る会(生健会)連合会、豊橋生活と健康を守る会などとおこなった懇談の席で、「返還は当然で、該当世帯と返還の話を進めている」と説明しました。市の当初の説明は過支給は1世帯最大月8000円、返還額は最大103万円というものでした。会側が、つじつまが合わないと指摘すると、実は月2万4470円の過支給があることを明らかにしました。
 この件は、あくまで市福祉事務所のミスです。受給者側に責任はありません。資力がなくわずかずつでも返還すれば、生活保護基準に満たない生活を余儀なくされる世帯が出ることは明らかです。多少の蓄えがあったとしても、それはクーラーや冷蔵庫、洗濯機などの買替準備金です。それを返還資金とするのはあまりに無情です。 該当する世帯に過支給分の返還を求めるべきではありません。憲法で保障された健康で文化的な最低限の生活が侵されることになります。
 東京地裁は同様の事例で今年2月、「返還は福祉事務所長の裁量権の範囲を逸脱、濫用したものとして違法」とする判決を出し、被告の東京都が控訴しなかったため同判決は確定しています。市側は、厚生労働省から連絡がなかったからという理由で判決を知らないまま対応していました。
 生健会県連は、大村秀章県知事あてに豊橋市の処理について指導をもとめ、東京地裁判決を県下すべての福祉事務所に徹底するよう求める要望書を提出します。