愛知民報

【17.06.11】宗教家が語る治安維持法下の弾圧 「国体否定」と牧師ら逮捕 日本基督教団名古屋中央教会 草地大作牧師

 5月27日に名古屋市中区でおこなわれた「共謀罪」法案に反対する集会(愛知県弁護士会主催)での日本基督教団名古屋中央教会の草地大作牧師の訴えの一部を紹介します。

 日曜日の礼拝で身にまとうガウンを着用してきました。宗教家として、戦前の治安維持法を現代に復活させるような共謀罪法案に反対の意思を示すために覚悟を持ってここに立っています。
 今から75年前の1942年から43年にかけて、私たちの教会が所属している日本基督教団の牧師が124人逮捕されました。治安維持法違反でした。
 教会の礼拝に特高警察が出席して、牧師の言葉をチェックし、そして、「国体を否定した」と罪名を挙げられ、多くが起訴され、有罪判決を受けました。4人の牧師は獄中で拷問を受けて死に、3人は出獄後すぐ死にました。再びこのようなことが起こるのではないかと懸念しています。
 日本基督教団はその後、戦争協力に突き進み、信徒たちから集めた献金を用いて、ゼロ戦を国家に献納しました。宗教家は声を大にして、共謀罪反対の意思を示さなければならないと肝に銘じています。
 命を大切にし、平和を守ること。私はここにあらゆる宗教の目的があると確信しています。それをまっとうすることができなかった過去を、私は決して忘れることはできません。
 監視社会を否定しない空気がじわじわと世間に広がっています。このことにも強い懸念を覚えます。
 共謀罪の国会での強行採決に合わせて、街頭インタビューがおこなわれたときに、「私には関係がない」と答えた市民がいました。
 それは間違いです。「市民は捜査対象ではない」と言った権力が市民を監視し、その言動を調べ、逮捕していくのがこのたびの法案の本質ではないかと思っています。
 多くの人に将来への懸念を共有していただけるように訴えを広げていきましょう。