愛知民報

【17.05.14】母子家庭 生活厳しく (日本共産党愛知県委員会女性部長・高橋真生子)

  愛知県は昨年12月、増加するひとり親世帯の生活上の問題点把握を目的に、「愛知県ひとり親家庭等実態調査」を実施しました。県内の母子・父子世帯の1割に相当する約6600人に調査票を送付し、約1500人から回答が寄せられました。同調査は、県が同時期に実施した「愛知子ども調査」とあわせて実施されました。とくに母子家庭が直面している問題の特徴を紹介します。

 

 「苦しい」7割

 今回のひとり親家庭等実態調査では、とりわけ母子家庭の大変さが浮き彫りになりました。「現在のくらしの状況をどのように感じていますか」という問いに、「大変ゆとりがある」「ややゆとりがある」と答えた人は約3%に過ぎませんでした。一方で、「大変苦しい」「やや苦しい」をあわせると70%を超えています。
 私が聞いた具体的な例では、「小学校で水筒を持参できない児童がいつも友だちのお茶をもらって飲んでトラブルになった」という話があります。
 保護者が毎日子どもにお茶を持たせることは、簡単なようでなかなか大変なことです。水筒を買うお金ももかかります。親が毎日の生活に追われて余裕がなくなっている可能性があります。
 実態調査には生活が「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた人に、その要因は何かを聞く設問もありました。
 「給料が少ない」と答えた人の割合が42・5%と最も多く、「子どもの教育費がかかる」(38・2%)、「物価が上がり、食費や日用品等の支出が多い」(35・3%)と続きます。
 経済的理由による料金滞納のために、電気、ガス、水道のいずれかを止められたことがあると回答した人は約11%ありました。

 

年収200万

 

 「2016年1月1日から12月31日までのボーナスを含む総収入額はいくらですか」への回答で多いのは、「100万円―150万円未満」(17・1%)、「200万円―250万円未満」(15・8%)、「150万円―200万円未満」(15%)。半数近くが年200万円に満たない収入でやりくりしていることが分かります。税金や社会保険料を差し引いた手取り額はもっと少なくなります。

 

非正規雇用

 母子家庭の働き方については、全体の90%以上が収入のある仕事についています。しかし、その内訳は正規職員の45%に対し、臨時・パート、派遣社員は48%で、約半数が非正規雇用です。特に30歳未満は、65%が臨時・パートです。

 

相談先ない人も

 

 「悩んでいることや困っていることはありますか」の問いには、82・6%が「ある」と回答。悩みの内訳で最も多かったのは、「生活費のこと」(62・6%)。次いで「子どものこと」(47・7%)、「仕事のこと」(43・7%)、「老後のこと」(36・0%)と続きます。「相談する適当な相手がいない」と答えた人は13・3%でした。
 「県や市町村がおこなう母子家庭への支援策で、期待する事業は何か」では、「学費・通学交通費などの就学援助」がトップ(43・6%)。「仕事から帰るまで安心して子どもを預けられる制度」(35・5%)、「児童扶養手当制度」(22・3%)の順でした。

 

無料塾68%子ども食堂33% 小学1年参加意向

 

 「あいち子ども調査」は、子どもの生活実態や子育て支援ニーズを把握することを目的に昨年12月に実施されました。調査対象は小学1年の保護者7000人、小学5年、中学2年の子どもと保護者各7000人の計3万5000人。約2万4000人から回答を得ました。
 調査項目は、健康状態、文房具やスポーツ用品など自分だけが使うことができるものの所有、学習塾やスポーツクラブなど有料の習い事の利用、地域や学校の行事への参加状況、暮らし向きや就労など多岐にわたります。
 無料学習塾や「子ども食堂」への参加意向も聞いています。無料学習塾への参加意向は小学1年68%、小学5年65%、中学2年58・8%でした。理由は「有料の塾は経済的な負担が大きいから」が半数を占めました。
 「子ども食堂」に参加させたいと答えた保護者は小学1年33・1%、小学5年31・5%、中学2年25・3%でした。
 小1保護者が子どもを参加させたい理由には、「子どもと一緒に食べる人がほしいから」(8・6%)「家ではしっかり食事が取れないから」(6・6%)がありました。