愛知民報

【18.07.15】土砂災害「危険」1万8000カ所 県の事業予算減額 最多の豊田市、対策に「200年かかる」

 今月上旬の西日本を中心とする豪雨で甚大な土砂災害被害が発生しています。全国で土砂災害危険箇所は約53万500カ所、愛知県内では約1万8000カ所。県内でこの4年間に、危険箇所は1・6倍、警戒区域は2・1倍になっています。

急傾斜地の崩壊を防ぐための法枠工(のりわくこう)工事がおこなわれている斜面=7日、豊田市

 土砂災害には、土・石・砂が大量の水と混じりあって斜面を流れる土石流、雨や地震などの影響で急激に斜面が崩れ落ちる急傾斜地崩壊、粘土などのすべりやすい地層に地下水が作用して地表のの地面が動く地すべりがあります。
 愛知県が公表している土石流危険渓流は5181箇所、急斜地崩壊危険箇所は1万2427カ所、地すべり危険箇所は75カ所あります。

 都道府県は、2001年施行の土砂災害防止法にもとづき地形、地質などを調査し、警戒区域、特別警戒区域を指定します。
 市町村には、ハザードマップで住民に周知徹底するよう義務付けています。警戒区域は今年6月26日現在、1万2253カ所、開発行為が厳しく規制される特別警戒区域は1万943カ所です。
 また土砂災害を防止するためには土砂災害防止法にもとづくソフト対策とともに砂防えん堤や急傾斜地の崩壊を防止する擁壁(ようへき)や法枠(のりわく)などを整備するハード対策があります。

 県内で土砂災害危険箇所がいちばん多い市町村は豊田市。日本共産党の根本みはる豊田市議は今年の6月市議会で、土砂災害から市民を守る対策を質問しました。
 同議員は市の災害防止施設整備計画について「対策が必要な箇所は904。整備完了には今のスピードでは200年かかる。前倒しで整備するよう県に要望するべきだ」と要求しました。
 本紙記者は7日、広大な山岳丘陵地を抱える豊田市内の危険箇所を視察し、住民の声を聞きました。
 矢作川に近い広瀬地区では、取材に応じた女性(74)が「1972年の土砂崩れで自宅の離れが壊れた。その後対策工事が進んでいるようには思えない。早く進めてほしい」と語りました。

 日本共産党の本村伸子衆院議員、すやま初美参院愛知選挙区予定候補は9日朝、名古屋市の金山総合駅前で豪雨災害救援募金をよびかけました。

 

整備率20.9%

 愛知県が土砂災害防止のため砂防えん堤や急傾斜地崩壊防止施設などの整備が必要とするのは4055カ所(2017年度末現在)。うち整備完了は848カ所で、整備率20・9㌫にとどまっています。
 事業費は、05年度82億4400万円でしたが、17年度は67億6600万円に減っています。