愛知民報

【17.11.19】あいち定時制・通信制父母の会25周年 公立校の充実に全力

 親の失業や生活困窮、小中学校時の不登校の体験から全日制高校に通えない生徒や高校を中退した生徒が学ぶ場として定時制・通信制高校が大きな役割を果たしています。
 従来からある「社会人が働きながら学ぶ」ことに加えて、学ぶ意欲があるすべての若者を支援する場となっています。
 愛知の公立定時制高校は、県立28、名古屋市立2、豊橋市立1の計31校。原則4年間の就学で授業は1日4時間。昼間と夜間の定時制があります。
 県立の通信制高校は2校。自学自習が基本で、レポートを提出。学校が指定する日に登校し、添削、面接指導、試験を受けます。
 「あいち定時制・通信制父母の会」はこのほど発足25周年を迎えました。同会は保護者の経済的負担が低廉な公立の定時制・通信制高校の充実をめざし、文部科学省や愛知県教育委員会への要望活動をおこなっています。
 同会は中学卒業後の進路に悩む生徒と保護者らによって1992年結成。翌93年から毎年、公立定時制・通信制高校の説明会を開いています。県高等学校教職員組合、名古屋市立高等学校教員組合が協力しています。
 同会は5日、名古屋市内で、戦中・戦後の混乱期に義務教育を受けられなかった人のために設置された通信制中学校を記録した映画『まなぶ』の上映会をおこないました。講演で太田直子監督は勉学に励む生徒の姿を紹介。「人はいくつになっても学びなおし、成長することができる」と語りました。

 

 文部科学省が毎年行っている「学校基本調査」によると、2016年3月に愛知県内の中学を卒業した生徒は7万3336人。高等学校に進学した生徒は7万2132人で進学率は98・4%でした。しかし、通信制を除く全日制・定時制への進学者は6万7524人で進学率は93・4%。全国最低になります。
 県は、全日制への進学率を93%、国公立と私立の割合を2対1として募集定員を設定しています。県立全日制高校の定員は4年連続で減らされています。 定時制の前・後期入学試験の不合格者は、7年連続で延べ400人を超えています。募集倍率2倍を超える夜間定時制もあります。
 通信制に進学する生徒が多いのが愛知の特徴です。公立の通信制高校は県内2校のみ。その募集枠は3年連続で減らされています。
 公立でない通信制には、専修学校に通いながら系列高校の単位をとる“ダブルスクール”や、国の「構造改革特区」により誘致・推進された株式会社立の広域通信制があります。