愛知民報

【17.03.12】名古屋市政黒書? 金持ち減税テコ 福祉民間任せ

上厚下薄

 市民税減税は、河村たかし名古屋市長の看板政策ですが、「庶民減税」は看板倒れでした。
 2012年度からはじまった河村市長の肝入りの市民税5%減税の恩恵は、庶民や中小企業に薄く、大金持ちや大企業に厚い“逆立ち減税”でした。
 庶民が減税に期待するのは税負担軽減による家計応援や金持ち優遇税制の是正です。
 ところが河村減税は逆。金持ちも庶民も同じ5%の減税率だから、納税額の多い高額所得者ほど減税額が大きくなる仕組みです。

格差拡大

 市の決算データによると、最大の年間減税額は個人で393万円です。人口227万人のうち減税額20万円を超える人はわずか0・04%。一方、扶養家族や非課税世帯など市民の過半数は減税額ゼロ。さらに約40%は減税額1万円以下です。
 法人の減税額トップは大企業で1億4600万円。一方市内法人約8万9000社の92%は減税額5万円以下です。
 去る2月4日、日本共産党名古屋市議団がおこなった市民税減税検証シンポジウムで、田口一登市議団長は、河村減税を「格差拡大減税」と批判しました。

効果なし

 河村市長は、市民税減税の目的は「家計支援ではない」と言い切りました。他市に比べ税金が安いことを売り物に、名古屋への大企業の事業所移設や高額所得者の住所移転を促進することでした。
 しかし、経済界の反応は冷ややかでした。市がおこなった市民税減税の経済効果調査では、日常の経費に減税分が消えていることが明らかになりました。

民営化

 河村減税のもうひとつの、そして本命のねらいは福祉民営化の強行です。
 減税した分、市に入る税収は減ります。2015年度は117億円の減収でした。
 市長は言います。「減税すると否応なしに構造改革が始まる」「福祉の構造改革をやる」「公益寄付金とか民営化という手法を使って福祉を向上させる」
 河村流の「福祉の構造改革」とは、国や自治体が責任を負う人権保障としての福祉制度を解体し、寄付金依存の慈善事業や企業の営利事業に切り替えるものです。
 実際、河村市政は、民間委託・民営化をすすめています。
 市立の城西病院(中村区)、守山市民病院を民間医療機関に売却しました。市立保育園を123カ園から78カ園に減らし、それ以外の45園の廃止・民間法人への経営移管をすすめています。
 小学校の給食調理の民間委託、市立図書館運営への指定管理者導入を強行しています。河村減税のツケは、庶民に回されます。

政策転換を

 日本共産党市議団は、市民税5%減税中止による財源で、小学校給食費無料化、子ども医療費18歳までの無料化、国民健康保険料引き下げ、後期高齢者医療保険料値上げ中止などの政策が実現できると提案しています。