愛知民報

【17.02.19】高齢者不安 政治の責任を求めるシンポジウム

 
 安倍自公政治が進める社会保障制度改悪に反対し、政治の責任を求めるシンポジウムが11日、名古屋市内でおこなわれました。反貧困運動や社会保障充実の運動に取り組む労働組合や弁護士らでつくる実行委員会が主催しました。野党から近藤昭一、牧義夫の民進党両衆院議員、本村伸子日本共産党衆院議員、平山良平社民党県連副代表、近藤靖治自由党県連副代表、宇都宮健児元日本弁護士連合会会長、岩城正光前名古屋市副市長が連帯のあいさつをしました。

 シンポジウムでおこなわれた医療・介護、高齢者福祉、生活保護の発言の一部を紹介します。

受診遅れ 愛知県民主医療機関 連合会事務局長 武田修三さん

 経済的理由から受診が遅れ、死亡にいたった事例を紹介します。
 吐血で救急搬送された80歳の男性は、胃がんと診断されました。急性期病院から一般病院に転院しましたが、手遅れでした。
 乏しい年金の老夫婦世帯で、重症化してしまいました。費用の安い老人施設を探しましたが、それも見つかりませんでした。
 受診遅れの死亡をなくすためにも、医療・介護の負担増を許さない運動が必要です。

家族減少 聖隷クリストファー 大学助教 村上武敏さん

 身寄りのない単身高齢者が増えています。日常生活の中で身内の高齢者を援助できる家族が減少しています。
 助ける人が身近にいない単身高齢者は、いまの介護保険の利用は困難です。自分で介護事業者と契約しなければなりません。施設に入所する場合、身元保証人を確保することが求められます。重い費用負担も問題です。
 家族の有無や支払い能力に左右されない介護保障制度が必要です。

生保は人権 弁護士(反貧困ネットワークあいち) 森 弘典さん

 生活保護は人権です。必要な人が生活保護を受けられるようにすることが必要です。役所の窓口は申請を拒否してはいけません。
 ?生保バッシング?の背景には生活困窮者への誤解や偏見があります。「怠けている」とみる風潮もあります。しかし全体から見れば生保の不正受給は1%以下です。
 社会福祉法が定める80世帯に1人というケースワーカーの人員配置基準を守るべきです。

安倍政権が進める医療・介護・年金の大改悪

★医療
【17年度以降予定】
 70歳以上の窓口負担上限額引き上げ▽65歳以上の療養病床入院費の居住費(光熱水費)引き上げ▽後期高齢者医療保険料軽減特例の縮小・廃止
【今後検討】
 受診時定額負担▽75歳以上の窓口負担1割→2割▽70歳以上の窓口負担上限引き上げ▽後期高齢者保険料引き上げ▽入院の居住費引き上げ▽市販類似薬の患者負担増や保険外し
★介護
【17年度以降予定】
 利用料上限引き上げ▽利用料2割負担のうち一定所得以上3割
【今後検討】
 利用料の原則2割▽要介護1、2の保険給付外し▽福祉用具、住宅改修の給付外し▽ケアプラン有料化▽施設の低所得者の食費・居住費値上げ対象を拡大▽生活援助サービスの人員基準の緩和▽介護保険加入を40歳未満に拡大
★年金
【17年度以降予定】
 物価変動踏まえ年金額0・1%削減▽年金カット法で年金額抑制・削減
【今後検討】
 支給開始年齢を65―68―70歳に遅らせる