愛知民報

【17.02.12】巨額内部留保活用 賃上げで経済好循環 

 日本の大企業の内部留保は史上最高の386兆円。労働運動総合研究所は、内部留保を崩さなくても、これ以上増やさない経営に転換するだけで大幅賃上げは可能であると提言を発表しています。
 

 

空前19兆円

 2001年から11年の間に、愛知経済に決定的な影響力をもつトヨタ自動車は大幅に内部留保(ため込み利益)を増やしています。一方、愛知県民の1人当たりの雇用者所得は年収約60万円減少しています。
 トヨタは、昨年3月期の連結決算で内部留保は空前の19兆円超。
 しかし、県下の格差と貧困は広がっています。大企業がもうかれば、回り回って県民の賃金と所得が増え、経済の好循環が生まれるという「トリクルダウン(滴り落ち)」の理屈は破たんしています。

流れ変える

 大企業の巨額のもうけを?ため込み?でなく、賃上げや消費の拡大、国内の設備投資に回すよう流れを変えるときです。
 全労連(全国労働組合総連合)と連携する労働運動総合研究所は、2万円の賃上げで、家計消費需要は8・3兆円増え、国内生産は15兆円拡大し、93・2万人分の新規雇用が生まれ、税収も1・4兆円増えるという試算を出しています。
 賃上げこそ、消費と生産、雇用を拡大し、日本と愛知の経済好循環をつくるカナメです。

豊田市内 下請7割が赤字

 愛知県労働組合総連合(愛労連)などでつくるトヨタ総行動実行委員会は4日、刈谷市内でトヨタシンポジウムをおこないました。
 このシンポでは、トヨタ自動車関連の下請中小企業の深刻な実態が報告されました。
 トヨタは、内部留保を積み増しながら、下請企業に単価引き下げを押し付けてきました。
 豊田市の根本みはる市議は、議会質問で市内の下請企業の7割が赤字という状況が明らかになったと発言。
 愛労連の榑松佐一議長は「トヨタは下請けいじめによって莫大な利益を蓄積してきた。内部留保を活用し、下請け単価を引き上げ、中小企業での賃上げを実現しよう」と呼びかけました。
 トヨタ総行動実行委員会は、今月16日にトヨタ本社前と刈谷駅で宣伝行動、3月20日には豊田市内で集会とデモ行進をおこないます。

“トランプいいなり”なら 県内産業空洞化心配

 トランプ米大統領は、米国内の雇用拡大のため、日本企業に同国内への工場建設を迫る発言をしています。
 トヨタは「今後米国に100億?を投じる」と応じました。
 すでに、日本から米国への工場建設など直接投資は急増(表)しています。一方、米国向け自動車輸出台数はピークの1986年の半分に減っています。
 自動車関連の中小企業から「“トランプ言いなり”では、産業空洞化が心配」との声がでています。