愛知民報

【14.06.22】国保料 重い負担に若年層悲鳴 非正規雇用、低所得広がる

 国民健康保険の保険料の重さに、20~30歳代の若年労働者が強い不満を示し、引き下げを求めています。日本共産党名古屋市会議員団が実施している市政アンケートで明らかになりました。今日、国保は若者問題です。同党は、保険料(税)引き下げの運動をすすめています。

構造変化

 
 国保加入世帯の構造変化がすすんでいます。市町村が運営する国保制度が創設されたのは1961年。65年度の加入世帯主の職業は、農林漁業42・1%、自営業25・4%、合わせて67・5%を占め、被用者(雇用労働者)は19・5%でした。
 それが、労働者雇用の非正規化が広がるなか、2010年度には、被用者は35・3%に増え、自営業は15・8%、農林漁業は3・1%に減少しました。
 国保加入の被用者の多くがパート、アルバイト、派遣などの非正規で、低所得層です。

高すぎる

 
 アンケートで20代の派遣社員は「毎月1万5000円の国保料は経済的に痛手」と訴えています。
 国保には、非正規労働者のほか、自営業者、退職後の無職者が加入しています。全体の77%は年間所得200万円以下です。
 加入世帯の平均所得は減りつづけ、一方、保険料は値上がりし、負担率が上昇しています。
 昨年の名古屋市の国保料滞納世帯は4万932。滞納して保険証の有効期間が短い短期保険証に切り替えられたケースは1万5861件、医療機関の窓口でいったん10割の自己負担が求められる資格証明書は4200件にのぼっています。

医療難民

 名古屋市で本人が保険証を持っていない保険証未交付は12年度4397人。その多くが非正規雇用の労働者と見られています。
 自民党政権の社会保障切り捨て政策で高額化する保険料、労働者使い捨て政策で広がる非正規雇用。国民皆保険制度から排除された“医療難民”が生み出されています。

アンケート回答4250通

【解説】日本共産党名古屋市会議員団が市民要求を政策や議員活動に反映させるため独自に実施している市民対象のアンケート。今回は3月から実施。各戸に配布され、郵送で返信を受けている。
 6月10日時点の返信は4250通。暮らし向きについて76%が「苦しくなった」と回答。77%が消費税10%反対。
 市政への要望事項の上位はムダな公共事業の削減、敬老パス維持、原発ゼロ・自然エネルギー活用、高齢者福祉の充実、国保料引き下げの順。

保険料引き下げ運動

犬山市で実現

 愛知県社会保障推進協議会は毎年、県内の自治体にたいし福祉・社会保障の拡充や国保料(税)の引き下げ、減免制度の拡充を要請する「自治体キャラバン」をおこなっています。
 2010年に北名古屋市、12年に犬山市で国保税の引き下げが実現しました。

県の補助復活を

 政党では日本共産党が国保料(税)の引き下げに熱心です。愛知県の大村県政が廃止した市町村国保事業への県単独補助金の復活を求めています。
 国保問題でも、同党と若者の共同が広がりつつあります。