愛知民報

【11.08.14】シリーズ発言 民主党政権の社会保障改悪? 医療の分野 愛知県保険医協会事務局長 西村秀一さん 「受診のたびに定額 病院が遠のいていく」

 
 民主党の菅内閣が決定した「社会保障と税の一体改革」で、医療は健康保険の患者窓口負担の値上げや、病院へ入院できる期間が一層短くされようとしています。

 健康保険本人の患者窓口負担は、自民党政権時代に1割から2割(1997年)へ、2割から3割(2003年)へと、3倍化しました。保険医協会の調査では4割近くの医療機関で、経済的理由で治療を中断したと思われる患者さんがあったと答えています。

 これが「一体改革」では、3割の窓口負担に加えて、受診のたび「定額負担」を余分に払わせよとしています。最初の受診時は200円で、2回目からは100円とも言われています。これでは病気になったも、すぐには医者にかかれません。

 薬の患者負担も見直すとしています。カゼ薬やシップ剤などを、健康保険から外す恐れもあります。経済産業省では、新しく発売(モデルチェンジ)された薬の値段の患者負担を、それまでの効目の似た薬の値段を基準に、その差額を全額自費にすることも考えています。

 自民党政権時代につくられた、患者を長く入院させると病院が受け取る診療報酬が減らされて赤字になる仕組みによって、病院からの追い出しが進みました。いまでは一般病院の平均入院日数は、20日程度。

 「一体改革」では、2025年には、高度急性期の入院は15~16日程度に、一般急性期は9日程度にしようとしています。これでは「追い出し」が心配で、入院が必要な患者さんまで病院が遠のいてしまいます。

 全国で1日に外来診療に通う数は、2005年は709万2500人でしたが、2008年には686万5000人と、22万7000人も減っています。「一体改革」ではこの数を、2025年には5%(約35万人)も減らそうとしています。

 これらの案はすでに自民党政権時代に、公的な医療費を削減する方法として用意されてきました。結局、小泉内閣でもできなかった医療改悪を、民主党政権が変わってすすめようとしているに過ぎません。

 お年寄りを差別する後期高齢者医療制度をはじめとする、自公政権の国民に痛みを押し付ける医療・社会保障改悪への国民の怒りが、2009年の政権交代を実現させました。今回の「一体改革」による医療改悪は、まったく国民の願いから逆行するもので、断じて許せません。