愛知民報

【10.07.25】ハイパー中枢港湾 名古屋港 選外か 

巨大船が集まる保証なし それでも大型開発

 民主党政権が国際競争力強化のために重点整備する「国際コンテナ戦略港湾(ハイパー中枢港湾)」の選定委員会は、8月上旬にも選定作業を終え指定港を発表する見通し。京浜港と阪神港が有力と伝えられています。河村たかし名古屋市長が管理者をつとめる名古屋港管理組合は国土交通省への陳情を繰り返すなど指定を受けようと躍起です。財界の強い要求があり、選定から外れても巨額のコンテナ港湾開発を推進する構えです。

民主党が主導

 旧自公政権は2005年に京浜港(東京・横浜)、伊勢湾(名古屋・四日市)、阪神港(大阪、神戸)を「スーパー中枢港湾」(スパ中)に指定。コンテナターミナルの整備を集中的に行いました。

 昨年9月に発足した民主党政権は、スパ中港湾をさらに絞り込み、巨大な“アジアのハブ港”をつくる「国際コンテナ戦略港湾」(ハイ中)の選定をすすめています。
 中部財界・神田県政・河村名古屋市政は伊勢湾を「ハイ中」に指定させようと動いています。

民営化も視野

 「ハイ中」には、伊勢湾のほか、京浜港、阪神港、北部九州港(博多、北九州)の4カ所が名乗りをあげました。

 名古屋港管理組合などが提示した伊勢湾「ハイパー」構想案には、自動化コンテナターミナル(飛島村)の拡充、名古屋港・四日市港の一元化、名古屋港のポートアイランドを免税地帯とする「楽市楽座」構想などが盛り込まれています。コンテナふ頭を運営する名古屋港埠頭公社の民営化も検討されています。

「スパ中」も巨額

 現在、「スパ中」事業として一部稼働中の名古屋港飛島ふ頭南側のコンテナターミナルの岸壁は水深16メートル。国土交通省は「ハイ中」港には超大型コンテナ船も接岸できるように水深18メートル以上が必要としています。

 名古屋港が「ハイ中」の選定から漏れても、愛知県や名古屋市は、今後約630億円をかけ、水深水深16メートルの第2岸壁などをもつ「スパ中」事業のコンテナターミナルの整備をすすめる計画です。

 巨額の公金を投じて国際港湾開発をすすめても、世界から巨大船が寄港する保証はありません。

浪費型開発見直せ 山口清明 名古屋港管理組合議員

 選定結果がどうなろうとも、世界各国や日本中からコンテナ貨物や船舶が名古屋港に集中するかは疑問です。

 今の世界の海運状況は巨大船での遠距離輸送でなく、中規模の船で近・中距離の直行便が増加しています。「ハイ中」構想自体がニーズにあっていません。

 民主党政権が無理やり1つか2つの港に集中させる方針は間違っています。浪費型開発は見直すべきです。