愛知民報

【10.02.14】名古屋市 河村「改革」に市民怒る 教育・福祉・環境 廃止後退次つぎ

 河村たかし名古屋市長が初めて編成する2010年度予算案は「市民税10%減税」で大企業・大金持ちを優遇する一方、減税による大幅な税収減を職員人件費の大幅削減のほか、市民犠牲の「行革」で穴埋めようとしています。保育園や病院の廃止・民営化、自動車図書館の廃止、環境技術研究所の廃止、学童保育所への助成基準額の減額など市民サービスの廃止や後退が目白押しです。

自動車図書館 存続を

 名古屋市の自動車図書館は1960年に「多くの市民に本を」と始まりました。現在,南図書館発の2台が市内120カ所を巡回しています。08年度は4万人、20万冊の利用がありました。

 5日、港区の新稲永荘前では小学生が自動車図書館の到着を待っていました。4月から廃止と聞き、「童話の本などたくさんあって楽しみ。なくなると困る」

 幼児を連れた女性。「この地域は交通が不便です。車を持っていないので子ども連れで港図書館までは行けません。なぜ市民の楽しみを奪うの」と怒りを込めました。

 市民団体や市職員の労働組合、日本共産党は自動車図書館の存続を求める署名運動に取り組んでいます。6日、自動車図書館が来た南区の南野公園で、日本共産党の佐野たかふみ南区生活相談所長が集った人に署名の協力をよびかけました。新聞報道で廃止方針を知ったという女性は「足が悪いので図書館に行けません。自動車図書館をなくさないで」と署名をしました。

 佐野さんは「河村市長は『福祉は削らない』と言ってきました。約束を破る行為は許されません。自動車図書館存続のためがんばります」と話しています。

市立病院縮小、民営化やめて

 河村市政は「経営悪化」を理由に市立病院の廃止・縮小を計画しています。

 市立城西病院(中村区)の民間医療法人への譲渡、守山市民病院(守山区)の老人介護や緩和ケア医療機関への機能縮小、緑市民病院(緑区)の民間指定管理者への委託などです。

 名古屋市は19日から始まる名古屋市議会に2011年3月末をもって城西病院の市営を廃止する条例案を出出そうとしています。

 「城西病院をよくする」地域医療を考える会(太田義郎代表)の呼びかけで1月29日、市立城西病院の存続を求める中村・中川両区の区民集会が開かれました。

 この集会では、太田代表が存続を求める署名運動や市との交渉について報告。「病院周辺の住民の間で廃止反対の声が広がっている。署名や宣伝を強め廃止反対の声を市に届けよう」と訴えました。

 参加者から「病院の赤字のツケを市民に押し付けるな。市は市民の命を守る公的責任がある」「中村区は市内で一番高齢者の多い区。歩いて通える病院が必要」「民間病院は差額ベッドなど医療費が高い。安くて安心な市立病院を残してほしい」など切実な声があがりました。