愛知民報

【10.01.03】絶滅が心配なアムールトラ 豊橋市 のんほいパーク 

 今年の干支(えと)は寅。トラは「強い動物」として動物園で子どもたちの人気者です。
 豊橋市の、のんほいパーク(豊橋総合動植物公園)を訪ね、知られていないトラの面白い話を聞きました。

アムールトラ=豊橋市・のんほいパーク

ネコ科最大

 トラはネコ科の中で最大の動物です。

 生息地域によってアムールトラ(別名・シベリアトラ、中国東北部)、アモイトラ(中国南部)、インドシナトラ(インドシナ半島)、ベンガルトラ(インド東部などベンガル湾岸)、スマトラトラ(インドネシア・スマトラ島)の5種類がいます。

 北に分布するトラが大型になる傾向があります。アムールトラのオスは全長3メートル、体重350キログラムを超える最大のトラです。日本の24の動物園で飼育されているトラは全てアムールトラです。

絶滅危ぐ種

 トラはワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)により1987年から、すべての種類の国際商取引が禁止されました。しかし飼育・繁殖目的の取引は禁止されていません。

 昔からトラの骨や肉は「滋養・強壮」に効果があるとして漢方薬用に使われてきました。「強い動物だから効き目がある」とのイメージを持たれたからです。今でも「飼育・繁殖」と偽って闇取引が横行しています。

 今年のワシントン条約第15回締結国会議では、飼育・繁殖を含め国際取引の全面禁止が話し合われます。

野生5千頭

 19世紀末までアジア大陸全域に生息していました。19世紀末の生息数は約10万頭と推定されていました。

 20世紀に入り開発による生息地の破壊、薬用や毛皮用として乱獲され生息数は激減しました。

 ワシントン条約の「レッド・データ・アニマルズ」によると野生のアムールトラの推定生息数(98年調査)は360~460頭(その他に動物園等の飼育623頭)。アモイトラにいたっては20~30頭(99年調査)となっています。

 インドシナトラなども各1000頭前後で、最大で世界には約5000頭しかいません。

 朝鮮半島では1990年に中国側の長白山脈で目撃情報がありましたが、その後の情報がなく絶滅したと思われます。

餌は草食動物

 野生のトラは主に草食動物(小型のシカやイノシシ)を好んで食べます。時にはアジアゾウやサイの子どもや、昆虫を食べることもあります。

 のんほいパークを含め日本の動物園で飼育しているトラには、餌として馬肉や鳥肉を与えています。

寿命は15年

 トラの妊娠期間は約100日。1回に2~4頭の子どもを産みます。幼いトラは生後2年間は母親と一緒に過ごし徐々に独立します。オスは子と一緒に生活しないばかりか、メスを発情させるため子どもに危害を加え殺すこともあります。

 独立してからは単独あるいは雌雄2頭で縄張りをもって生活します。野生の寿命は平均15年くらいです。

 動物園のトラの寿命は20年以上です。

お転婆娘

 同パークのトラ「マリン」は5年前に日本平動物園で三つ子の姉妹として生まれました。マリンは人間だと20歳の娘盛りです。園舎内で木登りやタイヤ潜りをする、お転婆娘です。

 多くの動物園の猛獣舎は金網や檻に囲まれていますが、同パークは来園者の利便性を図りオープン舎にしています。

 ネコ科の動物はみな夜行性です。マリンも昼間は寝ている事が多いため、午後3時過ぎに来園すると良く動いている様子が見られます。

寅年イベント

 同パークでは「寅年」記念のイベントとして1月3日(日)午前10時から猛獣舎前で、「ぐるぐるガイド」を実施。飼育員などによるトラについて解説をおこないます。

【のんほいパーク】
開館時間は午前9時~午後4時半(入園は午後4時まで)。月曜休館。入園料大人600円、小中学生100円。問い合わせは同パーク¥外字(8340)0532・41・2185。

愛知のトラ

 東山動物園のルビリン(メス)は1992年8月、デンマークの動物園で産まれ、95年2月に来園。国内、最年長です。

 のんほいパークのマリン(メス)は04年9月、日本平動物園(静岡県)で生まれ、05年7月に来園しました。

 ともにアムールトラです。