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憲法が生きる学校へ 名古屋でシンポジウム 安心の学びを子らに

子どもが安心して学べる学校づくりをめざし活発に議論した教育シンポ=18日、名古屋市中区

 「憲法26条の具体化される学校づくり―子どもが安心して学べる学校をめざして」をテーマにした教育シンポジウムが18日に名古屋市内で開かれました。憲法の理念を生かし、子どもと教育を守る愛知の会の主催。教員や保護者ら30人が参加しました。

 シンポジウムでは憲法26条が定める「国民の教育を受ける権利」が保障されていない実態が各パネリストから報告されました。

 元高校教員の小島俊樹氏は「高校卒業後の4年制大学進学率は年収400万円以下世帯が31・4%、1000万円以上世帯は62・4%となっている。塾や私学にお金を費やせる富裕層が有利。貧困世帯の高校生は、経済問題だけでなく学力的にも大学進学が困難」と報告。「全員の学費ゼロと給付型奨学金を制度化すべきだ」と強調しました。

 名古屋造形大学の大橋基博特任教授は「政府は『無償化』と表現するが、学費免除、給付型奨学金は所得、成績など対象が限定されている。一定の学業成績を収めないと支援が打ち切られる。国民の教育を受ける権利は本来、対象を選ばないものだ」と指摘。「教職員数の充実、処遇改善、学校施設整備など教育環境を掌握し、一つひとつ解決することが大切」と述べました。

 元中学校教員の近藤友伸氏は、自治体キャラバンなどの運動で見えてきた産休・育休などの代替教員の不足と教員の長時間労働の実態を報告し、自治体独自の教育支援策も紹介しました。30人学級を求める会の西田義弘氏は名古屋市の小中学校の少人数学級と学校統廃合の状況、あいち公立高校父母連絡会の近藤晶子さんは連絡会の取り組みを報告しました。

 討論交流では、「日本は高等教育費を欧米並みに国の負担を増やし個人の負担を減らすべきだ」、「瀬戸市は児童・生徒の少ない5小学校、2中学校を1つに統合して小中一貫校を開校しようとしている。計画の見直しを求め運動している」などの発言が続きました。

 日本共産党の、さいとう愛子名古屋市議は、市が小規模の77小中学校を統廃合対象に住民説明会を始めたことを指摘。「統廃合より少人数学級をやるべき。地域住民、学校関係者の声を無視しての統廃合強行は許せない」と訴えました。

(1月24日 しんぶん赤旗)