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元裁判官「今の現状考え、参加」安保法制違憲訴訟 原告ら決意

平和への思いを語り、勝訴への決意を述べる原告、弁護団=2日、名古屋市中区

 集団的自衛権行使を容認した安保法制は憲法に違反だとして、愛知県などに住む143人が2日、名古屋地裁に各10万円の国家賠償を求めて提訴しました。原告・弁護団は提訴状提出後、記者会見・報告集会を開き、勝訴に向けた決意を表明しました。

 立ち見が出るほどの会場いっぱいの原告・サポーターが集まり、多くのマスコミが駆け付けました。

 元裁判官の下澤悦夫さん(76)は、「これまで市民運動とは縁がなかったが、いまの国の現状を考えるとやるべきだと思い、一人の市民として参加した。三権分立の実現と裁判所の正義の力を信じ、平和を取り戻すためにがんばりたい」と語りました。

 名古屋市内で自営業を営む杉本皓子さん(68)は「政府は国民の暮らしを守るために税金を使うのではなく、防衛費だと言って軍事行動へ湯水のように使っている。裁判所に『安保法制は憲法違反だ』と訴え、本当の司法の独立を求めたい」。市民運動や平和運動に参加してきた藤井克彦さん(75)は「戦争・紛争は互いに軍備を増強し続け、傷つけあうだけで、平和はつくれない。安保法制の閣議決定や強行は、日常的に努力してきた私たちの信念や生き方を否定した。必ず勝訴を勝ち取りたい」と話しました。

 訴状では、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都産業大学教授が訴状で「科学の中立性が危うくなり、研究内容が市場に左右され、軍事利用も活発化し、安倍政権の動きを見ていると危機感は募るばかり。私が地道に自分の主張を繰り返すことで、その考えは必ず次の世代に引き継がれていくと信じている」と訴えています。

 松本篤周弁護団事務局長が、二次提訴に向けて「安保法制の違憲性と平和的生存権への侵害を訴えていくと同時に、社会に広げていくため多くの人に原告になってほしい」呼びかけました。原告の締め切りは8月20日(厳守)です。

(8月4日 しんぶん赤旗)