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相次ぐ介護制度改悪 待遇改善求め労働者集い

 

 「有給休暇が取れず体はくたくた。これでは良い介護はできない」「制度変更に人材確保が伴っていない」「パートの介護職は時給800円台。最低賃金ギリギリ」―。来年度から実施される介護保険制度の改悪による介護サービス低下や労働環境悪化について、愛知県内の介護労働者らから怒りの声があがりました。名古屋市熱田区で5日、開かれた「介護労働者のつどい」。70人が熱心に話し合いました。愛知県社会保障推進協議会などでつくる実行委員会が呼びかけました。

 介護保険制度は今年で14年たちましたが、介護現場で働く人たちの処遇は改善されず、人手不足は深刻です。来年度からは高い保険料・利用料を払いながら、軽度の介護者は施設に入れず、要支援の人は介護保険の対象から外すなど必要な介護が受けられない事態が心配されています。

 討論で、ホームヘルパーの女性が「誰かの役に立ちたいとヘルパーを続けてきた。制度改悪が続き利用時間制限などで十分なサービスができない。本来の時間より早く訪問することもあるが、個人の“サービス早出”。利用者の立場にたった制度に改善する必要がある」と話しました。

 ケアマネジャーの男性は「施設の人出不足は深刻。グループホームでは夜勤は1人勤務で20人の世話をしている。災害時など避難誘導が心配になる」と発言しました。
 
 介護施設の女性職員は「長時間労働、低賃金など労働環境が悪く、他の職種に比べ離職率が高い。募集しても応募がない。この状態が続けば『制度あって介護なし』になる」と語りました。

 参加した男性は「娘が介護福祉士をめざして福祉系の学校に進学したが、現場の厳しい実態を見て介護職を断念した。国の責任で待遇改善に取り組むべきだ」といいます。

 女性からは「国は人材確保のため外国人の受け入れ拡大を検討している。外国人の受け入れを否定しないが、日本人も含め介護職の低賃金が続くのではないかと心配です」との声もあがりました。

 小松民子愛知社保協事務局長は「来年度から改悪が強行されるが、このまま黙っていてはだめ、改善を求め署名運動に取り組もう」と訴えました。

 介護関連専門紙「シルバー新報」の川名佐貴子編集長が「介護保険の大転換制度、人材、ロボット…」をテーマに講演。制度変更の問題点を指摘し「理念なき見直し」と批判し、「国の人材確保策は不十分。改善に向けて利用者と家族、介護労働者が共同して取り組むことが大切」と強調しました。

                                    (2014.10.9)