ニュース

5人に1人が臨時教員 名古屋

 
臨時教員問題で名古屋市教育委員会と意見交換する「求める会」の人たち

非正規雇用がはびこる中、学校現場でも非正規の臨時教員が増え続けています。名古屋市では、教員約1万人のうち2220人、5人に1人が臨時です。10年余で倍になりました。いじめや自殺、学級崩壊など、さまざまな問題の背景にある矛盾の一つです。

10年余で倍に

 「終業式で生徒に『また来年ね』と言われて返事に困る…」。臨時教員からよく聞かれる話です。名古屋市の場合、産育休や病気代替を除くと、同一校での継続任用を原則として認めていないからです。

 同一校任用の経験がある小原洋子さん(56)=名古屋市瑞穂区=は、臨時教員として31年間、29校に勤めました。「1年限りだと運動会など学校行事は『去年はどうしたのですか』と聞くところから始まります。継続して任用されたとき『去年はこうだったから今年はこうしよう』と本題から話が始められました。一人ひとりの子どもに対しても実践内容が明らかに違う。貴重な体験でした」

特別支援学校では

 主に特別支援学級に勤めてきた小原さん。「先生が次々変わるのは子どもにも悪影響を与えます」。臨時教員の比率が高い特別支援学校・学級。先生の1年交代は、子どもに何をもたらすのでしょう。
 
 ある母親(45)は「養護学校の先生が1年で3回代わった。子どもが荒れて大変だった」といいます。産休の先生が年度途中で復帰したものの、肥立ちが悪く再び休職したためでした。前後を埋めたのが臨時教員です。
 
「うちの子は抽象的な説明を理解できない。新しい先生はそれが分からず『先生の言うことを聞かない』と。子どももふてくされ、野外実習に行かなかったり、家でも私と取っ組み合いをしたり。私も落ち込みました」
 
名古屋市南区の女性(44)は「特別支援学級の先生が年々代わり、子どもに帯状疱疹(ほうしん)が出た」といいます。「小5のときは、担任が2人とも交代。私も驚きました。すごいストレスだったんだと気付きました」

 3人の障害児を育てる母親は「障害のある子でも『この人は分かってくれる』『この人は分かってくれない』と見抜きます。相手を試す行動にも出ます。子どもは分からない人たちではなく、分かりにくいから分かるために支援がいるのです」。

大本には「定数法」

 親たちには「臨時だろうと正規だろうと、先生には一人ひとりの子どもに向き合ってほしい」という願いが共通します。さらに「長年、特別支援教育に携わってきた先生が臨時のままなのは不自然だし、同一校勤務ができないのもおかしい」と口をそろえました。
 
 臨時教員が生まれる大本には「定数法」があります。上限を超えて正規教員を採用すると、国から補助金が出ないのです。名古屋市の場合、本来正規教員であるべき枠に毎年80人前後の欠員が出ています。ほかに出産や子育てのための長期休業が年々増え、昨年度は943人に。一部の授業だけを受け持つ非常勤講師も増える一方です。

 臨時教員の同一校任用は法的には禁じられていません。名古屋市教育委員会は「任用機会の公平性」を担保するためと説明します。愛知県教育委員会は、「現場から要望があれば、教育の継続性からも合理的」として同一校での継続任用を認めています。

 教育行政研究者の榊達雄・名古屋大学名誉教授は「臨時教員を無くすには、最初から欠員を見越して多めに正規教員を採用するしかありません。私たち研究者は『プール制』として提案しています」と話します。

 「突き詰めれば、教育予算を切り詰める国の姿勢が問われます。ただ自治体でもできることはある。同一校への継続採用もそうだし、『プール制』も財政力があれば可能です」

 小原さんら教職員と保護者は「臨時教員制度の改善を求める会」(求める会)に加わっています。1984年の結成以来、臨時教員の待遇改善に尽力しています。小原さんはいいます。「最も重大なのは教育の継続性です。子どもたちのためにも正規を非正規に置き換える『安上がりの教育』を変えていきたい」

日本共産党のわしの恵子市議団長の話

 先生が1年で代わってしまうと、子どもと信頼関係をつくるのは困難です。いじめや自殺が問題になっている中、職員の情報共有が大切になっています。教員の多忙化や臨時教員問題の解決は欠かせません。教職員体制の抜本的な見直しが必要です。(8月23日)