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【07.07.21】Q&A 「共産党」名前がどうしても… メールでの質問に答えて

Oさん(男性・40代)

私たち自動車関係者は民主党を押しておりますが私を含め周りには共産党の主張する内容に同調する人が多くあります。しかしながら「共産党」の名前がどうしても・・・。
是非検討してみてください。仲間も異口同音です。

なぜ85年間、党名を変えないで活動できたかを見てください

なぜ名前を変えないのかという質問がありますが、なぜ一度も名前を変えないで活動できたか――ここをぜひ見ていただきたいと思います。

 政党が名前を変えるときというのは、国民に顔向けできないような大きな誤りを犯したときではないでしょうか。この点で、政党の真価が問われる歴史の岐路が、戦前と戦後にありました。

 まずは、戦前の侵略戦争と植民地支配への態度という問題です。アジア諸国民と日本国民に耐え難い犠牲をもたらしたこの戦争にたいして、命がけで反対をつらぬいた政党は、日本共産党だけでした。だから戦後も、党の名前を変えずに、堂々と「日本共産党」と名乗って活動を再開できました。戦前の歴史を、誇りをもって語れる日本の政党は、日本共産党だけです。

 この歴史は、かつて日本軍国主義の侵略戦争によってたえがたい犠牲をこうむった東アジアの人々と交流をすすめるうえで、大きな信頼の源となっています。

 東アジアの国では、さまざまな歴史的経緯から共産党が非合法とされている国も少なくありませんが、そうした国々との交流でも、日本共産党が侵略戦争と植民地支配に反対をつらぬいて、そのために多くの党員が投獄され、拷問などによって犠牲になった話をすると、「日本にそういう政党があったのか」、「われわれと同じバリケードの側でたたかっている政党だ」と、いっぺんに信頼が得られるという経験を、私たちはたくさんしてきました。

 侵略戦争と植民地支配に反対をつらぬいた歴史が、いまアジアの人々との友好をすすめるうえでのかけがえのない懸け橋となっている、これは、ひとり日本共産党にとってのみならず、日本国民全体にとっての財産といえるのではないでしょうか。

 他の党は、すべて侵略戦争に加担した歴史をもっています。だから敗戦のときに、「昔の名前では出られません」と、みんな名前を変えました。保守政党は、やがて自由民主党をつくりました。社会大衆党などの流れをくむ勢力は、日本社会党になりました。

 しかし、ここで深刻な問題が残りました。名前を変えても、心は変わらない――侵略戦争を推進しそれに反省のない勢力が、日本の戦後政治の中枢に座ったことです。安倍首相はその流れを受け継いで、「従軍慰安婦」で強制はなかったなどと発言し、世界から大きな批判を浴びています。

 戦後も、自民党政治にたいする一貫した対決者としての立場をつらぬいた政党は、日本共産党だけです。特に、一九九三年以降の政党の離合集散の歴史のなかで、わが党以外のすべての政治潮流は、自民党政治の加担者であるか、加担者であった歴史をかかえています。そこでの負の歴史が日本の政党政治の弱さになっていると思います。

 たとえば、「二大政党」といいますが、その一方の民主党は、どういう潮流が集まってできているでしょう。

 民主党の小沢新執行部が発足時に自民党の小泉首相(当時)にあいさつに行きました。顔合わせが終わった後、小泉首相が感想を問われてこう答えました。「小沢代表も鳩山幹事長も渡部国対委員長もみな自民党だった。田中派、竹下派と話しているような気持ちだった。野党といわれてもピンとこない」―正直な感想だと思います。

 民主党とは、旧社会党、旧さきがけ、旧自由党の出身者など、自民党との連立政権を組んだ経験をもっている潮流と、自民党から飛び出した潮流が、合流してつくられた政党です。そして、旧社会党にせよ、旧さきがけにせよ、旧自由党にせよ、自民党と連立政権を組んだ政党は、みんな名前を変えるか、党を解消せざるを得なくなっています。そういう勢力が合流してつくったのが民主党という政党です。

 この党が、「対立軸」路線といいながら、「対立」の実態がない、憲法改定でも、教育基本法改定でも、消費税増税でも、悪政の競い合いという枠内から出ることができないのは、こういう歴史とも深くかかわっていると思います。

 日本共産党は、自身の歴史に、いっさい誤りはなかったなどという立場をとるものではありません。個々の誤りや歴史の制約があったことは、公刊している党史――『日本共産党の八十年』のなかでも、きちんと明らかにしています。しかし、平和、民主主義、国民生活を守りぬくという歴史の根本問題において、日本共産党は、84年の歴史をつうじてつねに国民の利益の擁護者としての立場をつらぬいてきたと考えています。

こうした84年の歴史の中に、党名を一度も変えずにやってきた理由があるということを、ぜひ知っていただきたいと思います。

なお、共産党というと、旧ソ連や北朝鮮などの「社会主義」国のイメージとだぶってしまうということもあるかも知れません。しかし、旧ソ連が崩壊したのは社会主義・共産主義の原則からの逸脱―国内では民主主義も人権もない専制主義、外国に対しては力でいうことを聞かせる覇権主義―が原因であり、社会主義と無縁の国づくりが行われてきたことが最大の問題です。

日本共産党はソ連の崩壊を歓迎する声明を出しましたし、日本の政党としては北朝鮮の無法をもっともきびしく批判しています。

「共産党」の名前を「なんとなくこわい」とか、「ソ連や北朝鮮の仲間なのでは」と感じる人がいるのは、戦前・戦後の長きにわたって、いまの政治を牛耳っている人たちが意識的に共産党と暴力や圧政を結びつけて宣伝してきたことに原因があると思います。そのことは、逆に言えば、日本共産党を、自民党や公明党にとって一番伸びて欲しくない政党―自民党政治を変えることのできる政党と言い換えてもいいと思います―が日本共産党だということではないでしょうか。

以上、長文になりましたが、お読みいただいきありがとうございました。ご意見などお寄せいただければと思います。