ニュース

【06.06.04】名鉄が駅の廃止をうち出す 三河荻原駅(吉良町)、椋岡駅(阿久比町)などが対象 採算優先 地元利便ばっさり

6月4日「愛知民報」

 名鉄は、プリペイドカードに対応する自動改札機の全駅導入のため、1日の乗降客数が300人以下で市街地に位置しない駅の廃止を検討しています。すでに西尾線の三河荻原駅(吉良町)、碧海堀内駅(安城市)、鎌谷駅(西尾市)や河和線の椋岡駅(阿久比町)を、廃止する方針を関係自治体に伝えています。廃止を伝えられた地域の状況を取材しました。

「廃止絶対反対」の立て看板が掲げられた三河荻原駅

クラブ活動が出来ない

 吉良町にある三河荻原駅の1日の利用客は264人。しかし同駅は町役場の近くにあり電車で役場に来るお年寄りもいます。町役場職員も通勤に利用しています。この地域は町立図書館や尾崎士郎記念館、旧糟谷邸など施設が集中しています。同駅は通学などの町民生活や町観光に欠かせない大切な役割を果たしています。

 夕方、電車を降りてきた通勤客は「電車で毎日通勤しているが廃止されると聞いてビックリしている。何とか存続してほしい」と話しています。「駅が廃止になると隣の駅まで行かなければならない。通学時間が長くなり、クラブ活動の時間がなくなる」というのは男子高校生です。

5千人超す存続署名

 町民は、日本共産党吉良支部発行の地域新聞「あかうま」などを通じて駅廃止を知り、大きな衝撃を受けました。荻東校区の藤原源市校区長らの呼びかけで、4月中旬から駅存続を求める署名運動を始めました。

 5月中旬までに5500人を超す人から署名が集っています。署名用紙には「病院通いしているが隣駅まで出るのが大変」「隣駅までの送迎の負担が大変になる」など切実な声が書かれていました。

公共交通の責任を

 日本共産党の尾崎一信町議は「高齢化社会が進むなかで公共交通機関としての三河荻原駅の役割はますます重要になってきます。名鉄は公共交通機関としての責任を果たしてほしい」と話しています。

町内のバス路線も廃止

 阿久比町にある椋岡駅の1日の利用客は197人。名鉄は「今後、維持していくのが困難」との理由で4月末に阿久比町に廃止の方針が伝えられました。駅廃止の方針を知った地元の区長が連名で椋岡駅の存続を求める請願書を6月の町議会に提出することにしました。

 名鉄はバス路線の廃止もうち出しています。名鉄グループの知多乗合から4月末、阿久比町内で運行する宮津団地線(1日6便)、阿久比スポーツ村線(1日1便)の廃止方針が同町に伝えられました。乗合タクシーに代替するといいます。

 日本共産党の杉野あきら町議は「名鉄は効率だけを追い求め、公共交通機関としての使命を投げ捨てていると言わざるをえません。各自治体は交通権を保障する責任があります。町民の交通の便の確保のために椋岡駅の存続と、巡回バスなど町民の要望をもとに公共交通の改善にがんばります」といいます。

駅存続を 地元が名鉄に申し入れ

 名鉄西尾線三河荻原駅の廃止問題で5月11日、吉良町の山本一義町長ら住民11人が名鉄本社を訪れ、同駅の存続を申し入れました。日本共産党の尾崎一信町議も参加しました。

 山本町長らは、「駅がなくなれば、老人世帯や高校生などがいる家庭で、当事者はもとより送迎の家族の負担も大変」など町民の切実な声を紹介。「町としても、観光振興を含めた利用者拡大にも努力しているところです。利用者の思いをくみとって駅を存続してほしい」と訴えました。

 応対した柴田雄己取締役・鉄道事業副本部長は「経営方針を理解してほしい」と述べるにとどまりました。