愛知民報

【17.09.22】名古屋市「市設建築物再編整備の方針」 幼稚園、高校、図書館切り捨ての元凶 日本共産党名古屋市議 (市議会教育子ども委員・西区選出)青木ともこ

 河村たかし名古屋市長は、2015年に策定した「市設建築物再編整備の方針」を推進しています。2050年までに市の保有する施設を10%削減するというもの。とくに教育分野で施設の整理・再編をおこなう方針です。日本共産党名古屋市議団が7日におこなった市政懇談会で、同党の青木ともこ議員(市議会教育子ども委員)が問題点を報告しました。要旨を紹介します。

 1つめは市立幼稚園の廃止です。市教育委員会は4月、報徳(北区)、はとり(中川区)、比良西(西区)の3園を順次廃止する計画を発表しました。「幼児人口が減り、定員割れしているから」というのが理由ですが、保護者や地域から集まった存続を求める請願署名は3万3000人分にのぼりました。
 くれまつ順子議員が6月議会本会議で存続を求めました。教育長は「この先、幼児人口は減少する」「他の市立園で受け入れが可能」と答えました。
 中川区でおこなわれた説明会やパブリックコメント(パブコメ)で強い異論が出たにもかかわらず、教育委員会は8月9日、計画を決定しました。

 2つ目は図書館の大規模再編と民営化拡大です。6月28日、教育委員会は「なごやアクティブライブラリー構想案」を市議会教育子ども委員会に突然提案しました。市内に21ある図書館のうち6館だけを直営とし、他はすべて「民間活力の活用」としています。市内を5ブロックに分け、ブロック内の図書館をA、B、Cにランク分けし蔵書数などの差をつける構想です。
 党市議団は、すべての図書館で説明会をおこなうよう申し入れました。教育委員会は当初予定していなかった説明会を8月19日、鶴舞中央図書館で実施しました。80名近くが参加し、「構想に納得できない」という意見が続出しました。
 図書館は市民の暮らしに欠かせない社会教育施設です。しかし、当局は図書館を数ある保有資産の一つとして再編整備と合理化の対象という考えです。

 3つ目は、市立若宮商業高校(天白区)の生徒募集を20年春に停止し、22年3月末に閉校する方針です。8月31日の市議会教育子ども委員会で審議されました。教育委員会は廃止理由を「一般的に生徒数が減少している。商業科への希望が減っている」と釈明しました。
 しかし当局は、市内通学割合85%、地元就職率8割、定員割れなし、制服をリニューアルしたばかりの人気校をなぜ閉校するのか説明できませんでした。隠された本当の理由は、「市設建築物再編整備の方針」です。私は「なくさないで」という生徒や保護者の声を紹介し、方針の撤回を迫りました。

 3つの問題を通して見えてくるのは、住民福祉の増進という自治体の役割がまるで欠けているということです。学校、幼稚園、図書館などは地域とは切り離せない、市民の財産です。実態も将来も考慮せず、人口減少や財政難を口実に一律的に統廃合、再編、民営化を進めることに道理はありません。9月議会で厳しく追及します。