愛知民報

【17.07.30】検証 介護予防・日常生活支援 「総合事業」 赤字経営、人員不足

 日本共産党名古屋市議団は16日、名古屋市内で、市が昨年6月から実施している「新しい介護予防・日常生活支援総合事業(新総合事業)」を検証する懇談会を開きました。同事業は安倍自公政権の介護保険法改悪で要支援1、2の訪問介護、通所介護を介護保険から外し、市町村の独自事業に移すもの。介護度軽減や介護給付費削減がねらいです。今年4月の全国実施に先立ち、名古屋市は昨年6月から実施しています。ヘルパーなど有資格者の配置基準を緩和したサービスで市が事業者に払う報酬は従来の7―8割。市議団がおこなった事業者アンケートでは「報酬が安くて参入できない」という声が寄せられています。

日本共産党名古屋市議団主催の「新総合事業」懇談会で田口一登団長の報告を聞く人たち=16日、名古屋市東区

 

「市は予算増やし報酬上げよ」

 

 懇談会に集まった介護事業者から切実な声が出されました。
 「無資格者を雇って事業参入なんて怖くてできない」「家事援助が中心の人でも重い病気を抱えて緊急時の判断が求められる」「年間300万から400万円の赤字。続けられるか心配」「1人退職した。募集しても埋まらない」「びっくりするほど体が悪い人が要支援と認定されている」
 市が今年5月に公表した、新総合事業の「検証結果」によると、4月1日時点で、人員基準を緩和したサービスに参入した事業者は、「生活支援型訪問サービス(掃除・洗濯など家事援助、報酬7割)」で730事業所中204事業所、「ミニデイ型通所サービス」(利用期間6カ月、報酬8割)は691事業所中59事業所でした。参入しない主な理由は「介護報酬がサービスに見合わない」「6カ月でサービス終了は短い」でした。
 同党の岡田ゆき子議員は、「2016年の第6期介護報酬の引き下げで82%の事業所が経営難になっています。総合事業への参入が進まないのは報酬が低すぎるから。報酬を従来の介護予防サービスの7―8割に抑えているのは市の判断。市の裁量でもっと予算を増やすべきです」と強調しました。

 

3日間の日常生活支援研修修了者 就労5.8%にとどまる

 身体介護を伴わない訪問サービス(生活支援)の担い手を養成する3日間の「高齢者日常生活支援研修」の修了者は今年3月、941人。うち就労者は55人にとどまっています。約6割が時給1000円未満でした。
 懇談会では、「時給が減ることを承知してもらって、ヘルパーや介護福祉士が生活支援に入っている」という事業者の発言がありました。

 

 

サービス「卒業」押し付け 介護の充実を求める会愛知連絡会代表世話人 中村亘さん

 私は一昨年12月、要支援2と判定され、週2回デイサービスセンターに通っています。元々足が不自由で、車いす生活になりたくない一心で通っています。 デイサービスの利用者は15人くらい。一人ひとり体の状況は違います。
 昨年6月に新総合事業が始まって要介護認定がやり直しになりました。要支援1に下げられたので、見直しを申請したら要支援2に戻りました。要介護認定が軽く出る傾向を強く感じています。
 ケアマネージャーから電話で6カ月で打ち切りになるサービスへの移行を打診されました。「卒業」の押し付けです。見かけだけでサービス打ち切りと決め付けるのは問題と実感しています。