愛知民報

【18.07.01】東三河の水需要減少傾向 「設楽ダムはいらない」 公金支出差止めを

 安倍自公政権は、豊川上流の設楽町内に設楽ダムの建設事業を進めています。総事業費は2400億円。愛知県は同ダムに水道用水の使用権を設定し、264億円を負担します。ダムに反対する市民161人は5月23日、大村秀章知事と県企業庁長を相手取り、不要な水道用水に係る公金支出の差し止めなどを求めて名古屋地裁に提訴しました。

 設楽ダム建設計画は国の直轄事業で、高さ129㍍の重力式コンクリートダムです。貯水容量は9800万立方㍍。設楽町の中心集落のすぐ横に巨大なダムを造る計画です。
 同ダムの事業主体である国土交通省中部地方整備局は昨年6月からダム本体の施工が乾いた状態でおこなえるよう、河川の流路を変更して流水を導く「転流工」の工事を始めています。愛知県は国と一体でダム建設を推進しています。
 愛知県が設楽ダムに水道用水を利用する権利(毎秒0・18立方㍍)を設定する理由は、給水する東三河地域の上水道の需要が大幅に増えることを想定していたからです。県の想定は、2003年に毎秒3・41立方㍍(1日給水量28・8万立方㍍)だった取水量が15年には毎秒4・42立方㍍(1日給水量33・9万立方㍍)に増えると見込んでいました。
 ところが、東三河地域の上水道の需要は減少傾向にあります。昨年3月に公表された『愛知県の水道 水道年報』によれば、15年度の東三河の上水道の1日最大給水量は、27万立方㍍にとどまり、目標年の15年、県が想定した需要値になりませんでした(下グラフ)。
 設楽ダムを除く既存施設での給水能力は1日30万立方㍍。水余りは明らかで、10年に1度の渇水にも対応できるます。
 県が設楽ダム建設事業に参加する必要はなく、県の公金支出はムダづかいとなります。

『豊橋市上下水道ビジョン』より

 「配水量は社会経済情勢の変化、節水意識の浸透等の要因によりほぼ横ばいから減少傾向」
 「本市の人口が少子高齢化の影響により減少過程に入っていくと予測される」

 

長良川河口堰 水余り

 

 1995年に運用開始した長良川河口堰の水が余っています。同堰は国の水資源機構が管理しています。全体で毎秒13・16立方㍍のうち、使用されているのは愛知、三重両県の水道用水約3・59立方㍍だけ。
 愛知県の水道用水2・86立方㍍は、名古屋港の海底を通る送水管(長良導水)で知多半島の4市5町に給水されています。水資源機構によれば、6月22日に長良導水から取水した量は毎秒1・77立方㍍とどまっています。
 名古屋市の水道用水2立方㍍や工業用水9・34立方㍍は使われていません。
 徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を引く木曽川水系連絡導水路など新規の水資源開発は不要です。