愛知民報

【17.04.02】話し合ったら犯罪?国民監視の大悪法 「共謀罪」は廃案に

 安倍内閣は3月21日、国民の内心を処罰する「共謀罪」法案を閣議決定し、国会に提出しました。政府は法案名を「テロ等準備罪」と変えましたが、実際の犯罪行為がなくても「相談」や「計画」しただけで処罰する本質は変わりません。「共謀罪」法案はこれまで3度廃案になりました。「市民と野党の共闘で4度目の廃案を」と学習会、デモ、宣伝など各地で運動が広がっています。

名古屋で集会、デモ

 
 ♪「共謀罪 あなたも私も監視の対象!」「一般人 政府が決めたらテロリスト!」「ケータイ・スマホも見られるよ!」
 3月24日夕、名古屋市中区栄の繁華街で「共謀罪」法案に反対するデモがおこなわれました。日本国民救援会愛知県本部など人権・平和団体が呼びかけ約400人が参加しました。
 出発前集会で、渥美雅康国民救援会県本部会長は、市民生活に警察が深く入り込み監視下に置く▽えん罪の温床になる▽捜査権力の乱用につながる▽自白を引き出すための司法取引などの問題点を指摘。「実行行為がないのに会話を処罰する本質は変わらない」と強調しました。
 花井増實愛知県弁護士会秘密保全法制対策本部副本部長は、「思想信条の自由、集会結社の自由を侵害する」と強調しました。
 俳優の天野鎮雄さんは、戦前・戦中の国民監視システム?隣組?について発言。「終戦時私は小学校3年。『とんとんとんからりと隣組』と歌われていたのをよく覚えています。あの時代に戻してはいけない」と訴えました。
 中部電力の子会社・シーテックが計画する風力発電所の反対運動をめぐって岐阜県警大垣署が特定の市民の個人情報を同社に流していた事件の被害者、近藤ゆり子さんは「市民運動つぶしだ。国家賠償を求めて裁判を起こした」と述べました。
 民進党の近藤昭一衆院議員が国会報告。同党の山尾志桜里、日本共産党の本村伸子衆院議員がメッセージを寄せました。

警察権限強化に歯止めを ジャーナリスト 青木理さんが強調

 
 「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会(「秘密保全法に反対する愛知の会」を改称)が3月25日に名古屋市内でおこなった同会結成5周年集会のトークショーで、通信社在籍時に警備公安警察の取材に深く関わり、『日本の公安警察』(講談社)などの著書を持つジャーナリスト、青木理(おさむ)さんは特定秘密保護法、通信傍受法、共謀罪が警察権力の暴走につながる危険性を告発しました。
 青木氏は、「警備公安警察は従来情報収集の対象としていた左翼勢力に限らず幅広く監視を広げている」と指摘。「実力組織を持っている治安機関が権限を広げることに政治が無自覚になっていてはいけない。歯止めが必要」と述べました。
 青木氏は、特定秘密保護法や共謀罪など治安立法が取材活動や報道の萎縮につながる危険性を力説。「ジャーナリストは役所や企業の関係者の内部告発をもとに、裏づけ取材をしたうえでスクープ記事にしている。秘密法や共謀罪があれば『出したら処罰される』情報は出なくなる。公安警察は記者のパソコン、取材メモ、携帯電話の通話履歴を捜査対象とし押収する。取材源を秘匿できなくなる」と語りました。

暗黒時代再来許さず 治安維持法犠牲者国家賠償 要求同盟愛知県本部会長 西田一廣さん

 安倍政権が成立を狙う「共謀罪」法案は、治安維持法の現代版です。戦前・戦中に侵略戦争に反対し抵抗した人々を厳しく弾圧した同法と同じです。「戦争する国」づくりのために、憲法9条を守り戦争に反対する市民が立ち上がることを抑え込むことが目的です。
 治安維持法により逮捕されたプロレタリア作家の小林多喜二は警察の拷問により逮捕3日後に命を奪われました。愛知県北方村(現一宮市)出身の岩田義道(日本共産党中央委員)は、逮捕4日後に亡くなりました。
 当時、政治犯・思想犯を取り締まった治安機関・特別高等警察は「あやしい」と見たら投網を打つように捕まえ、拷問で自白を強要しました。捕まった人のうち9割以上は起訴されませんでした。
 私は、愛知県ゆかりの治安維持法弾圧犠牲者の氏名を整理しています。作業前は600人でしたが、850人を超えました。
 私が在住する名古屋市西区東枇杷島町出身の中野太吉は「エスペラント語(国際共通語)で『天皇』と書いた」ことを罪状として捕まっています。
 再び戦争と暗黒政治を許さないために、命がけで侵略戦争に反対した治安維持法犠牲者の歴史を語り、「共謀罪」の本質を広く国民に知らせ、法案を廃案に追い込みたい。