愛知民報

【16.11.20】学童保育 愛知 いま 県内の実施状況

児童福祉事業

 学童保育所は、共働き・ひとり親家庭などの小学生の放課後(土曜日、春・夏・冬休みなどの学校休業日は朝から一日)の生活を継続的に保障し、親の働く権利を守る事業・施設です。
 1950年代ごろから共働きの親らによる地域に共同学童保育所をつくる運動がはじまり、97年の児童福祉法改正で学童保育は児童福祉事業に位置づけられました。入所対象は、2015年から6年生までに広がりました。
 県内の学童保育所は16年5月現在1155カ所。4万9774人の児童が利用しています。小学校低学年(1年生―3年生)の2割近くが学童保育を利用していると見られ、子育て世帯にとってなくてはならない施設になっています。

増える待機児童

 今年5月の県内の待機児童数は806人。施設数がニーズに追いついていません。
 県内の学童保育所数は11年に小学校数を上回りましたが、164校区が未設置。県学童保育連絡協議会は、小学生の生活圏から見て、小学校区に1カ所の学童保育所の設置が必要としています。
 政府は待機児童対策として、学童保育への企業参入や文科省の補助事業「放課後子供教室」との一体化を検討しています。この方向には「学童保育を変質させる」との批判が出ています。

大規模化

 学童保育所の大規模化や設備の不十分さも問題になっています。 小学校低学年が学童保育で過ごす時間は年間約1633時間。学校で過ごす時間より415時間も多くなっています(全国調査)。
 国は、40人以下の定員が望ましいとしていますが、それを超す規模が県内全体の46%も。定員100人を超す大規模な学童保育所もあります。
 県内の学童保育所の68%が緊急通報装置未設置。整備が求められています。

処遇改善を

 県学童保育連絡協議会の調査によると、県内の学童保育の指導員は約6000人。パート・アルバイト職員が増えています。「ワーキングプア」とされる年収200万円以下の指導員が約60%。処遇改善は急務です。
 同協議会は、学童保育指導員の仕事だけで生活が成り立つ職業にするための加算措置を県に求めています。

運動さらに

 12年に成立した「子ども・子育て支援法」(15年4月施行)で、学童保育は市町村の実施する「地域子ども・支援事業」に位置づけられ、市町村に学童保育の整備計画の策定が義務づけられました。これにともない県内54の市町村のすべてで学童保育(放課後児童クラブ)の運営条例が制定されています。
 県下の日本共産党議員は、学童保育の増設・改善、保育料の保護者負担の軽減に取り組んでいます。同党の、わしの恵子県議は「施設設置でも指導員の処遇でも、愛知県は国基準に県独自の上乗せ支援をおこなうべき」と語っています。