愛知民報

【16.04.24】TPP批准阻止 たたかいはこれから 自民は公約 国会決議違反

 農民運動愛知県連合会や愛知県保険医協会など10団体は17日、「TPP批准阻止あいちフォーラム」を開催しました。TPP(環太平洋連携協定)は、「日本の主権を多国籍大企業に売り渡すものであり、批准阻止のたたかいはこれからだ」とするアピール文を採択しました。
 

 TPP批准阻止あいちフォーラムで、真嶋良孝農民運動全国連合会副会長、TPP違憲訴訟弁護団共同代表の岩月浩二弁護士、板津慶幸愛知県保険医協会副理事長の3氏は、各分野からTPPの問題点を報告しました。

秘密主義

 真嶋氏は、安倍政権が黒塗りの資料しか提出せず、異常な秘密主義でTPP批准を強行をしようとしていると指摘。「TPP交渉で最善の結果を得た」との首相発言は「あまりにも?アベすぎる?開き直り」と指摘しました。

2つのウソ

 TPPのごり押しは二つのウソで国民を欺くものです。
 第1は、「聖域を守る」とした国会決議を踏みにじっています。
 真嶋氏は「守るどころかコメまで関税ゼロの特別輸入枠8万トンが設定された」と話し、安倍首相は「国産米8万トンを備蓄米にするから大丈夫」というが、国産米を備蓄し、外国米を国民に食べさせるものと批判しました。
 第2は、農業や地域経済への深刻な打撃を「ない」ものと描くデタラメの試算です。
 真嶋氏は、安倍政権による新試算は政府自身が2013年におこなった試算との比較で農林産物のマイナス効果は25分の1という驚くべきゴマカシであり、過去の試算の方が農産物完全貿易自由化の行き着く先を示していると解明しました。

非関税障壁

 TPPは、関税撤廃だけではありません。医療、雇用、食の安全、保険などあらゆる分野のルールを、多国籍大企業の利潤のために、「非関税障壁」として撤廃させるものです。
 板津氏は、アメリカの民間保険会社にとって日本の皆保険制度は「非関税障壁」です。公的保険のきかない自由診療が拡大すれば、医療費は全額患者負担になると指摘しました。

ISD条項

 岩月氏は、ISD条項(投資家・国家間紛争解決条項)について、「多国籍企業が期待する利益を得られなかった場合、投資先の政府を裁判に訴える内政干渉の制度」と述べました。
 日本は、子宮頸ガンワクチン接種の積極的な勧奨を中止しました。製造元の海外の製薬会社は毎年250億円の売り上げが減少しました。もしISDが発動されれば、日本政府が製薬会社に賠償しなくてはならなくなります。

愛知県に要請

 同フォーラムは、愛知県に対して「TPPによる県民生活への影響を明らかにし、県民に不利益があれば、政府に反対する」ことを求めます。

TPP撤回を 日本共産党

 日本共産党は、TPP協定に反対し、各国の経済主権、食料主権を尊重した平等・互恵の投資と貿易のルールを提案しています。
 日本農業の再生へ農産物への価格保障と所得保障の実施、39%まで落ち込んだ日本の食料自給率を50%に引き上げる政策を掲げています。

TPP協定交渉参加に関する国会決議(要旨)

一 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物 の重要品目は、(交渉から)除外又は再協議の対象とすること。10 年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も認めないこと。
二 残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、  遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、BSEに係 る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生 産を損なわないこと。
三 国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠 な合板、製材の関税に最大限配慮すること。
四 漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。持続的 漁業の発展が確保されるようにすること。
五 国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと。 
六 農林水産分野の重要5品目などの聖域の確保を最優先し、確保 できないと判断した場合は、(交渉からの)脱退も辞さないこと。
七 交渉で収集した情報は、国会に速やかに報告し、国民への十分 な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うこと。