愛知民報

【16.03.13】年金引き下げ違憲訴訟第1回口頭弁論 「生存権を守るために提訴」

 
 愛知、三重両県で年金を受給している高齢者212人が昨年5月、国民年金、厚生年金の減額処分の取り消し、減額された年金の総計312万円余の支払いを求めて国を訴えた行政訴訟の第1回口頭弁論が2月25日、名古屋地方裁判所でおこなわれました。
 2014年2月、年金引き下げを不服とする受給者12万人が厚生労働大臣に不服審査請求書を提出。その後、「却下」の決定を受け、再審査請求を経て提訴にいたったものです。
 口頭弁論では2人の原告が提訴した理由を陳述しました。伊藤良孝原告団長(全日本年金者組合愛知県本部委員長)は、80歳を過ぎてもパートで働いている高齢者や1日1食にして生活費を切り詰めているなど、同本部に寄せられた悲痛な声を紹介。「医療も介護も自己負担が増えています。健康で文化的な最低限度の生活とはいえません。憲法25条違反です。生存権を守るために提訴しました」と述べ、減額の取り消しを求めました。
 三重県名張市の原告、和田四十八(よそはち)さんは「私の年金支給額は月11万円。妻の分と合わせて暮らしている。独り身になったら不安」と訴えました。
 安倍自公政権は、2013年から連続して年金支給額を減額してきました。さらに昨年4月、年金額の伸びを物価上昇分より低く抑える「マクロ経済スライド」を導入しました。
 厚生労働省は今年1月、4月からの年金額を前年度と同額に据え置く決定を行いました。マクロ経済スライドの発動は見送られました。物価が上がっている中での据え置きは、実質目減りであり、受給者から怒りの声が上がっています。