愛知民報

【16.02.07】返済の必要ない給付制の奨学金実現へ 日本共産党 国、県、名古屋市に要求

 「奨学金」という名の負債が若者を苦しめています。日本は世界一の高学費。奨学金を借りて進学する若者は、卒業と同時に数百万円もの借金返済が求められます。日本共産党は、返済の必要のない「給付制」奨学金の創設、教育予算の抜本的増額を求めて全力。政府、地方自治体を動かしはじめています。

河村市長は決断を

 
 河村たかし名古屋市長に、市民経済局が要望した奨学金返還支援制度と、教育委員会が要望した私学の給付制奨学金を来年度予算に盛り込むよう求める青年、学生ら。愛知県弁護士会から奨学金問題に取り組む弁護士らも参加。(右から)山口清明、西山あさみ両名古屋市議=1月31日、名古屋市役所市長室

名古屋市

 日本共産党名古屋市議団は、奨学金支援制度の実現を求めてきました。
 山口清明市議は、市議会で2度にわたり奨学金返済支援を求め、河村たかし名古屋市長に「検討するよう指示した」と答弁させました。さらに昨年6月議会で西山あさみ市議は、市長に対して「具体的にどの部局にどのような指示をしたのか」と質問。市長は「市民経済局に指示した」と答弁しました。
 この結果、同市の市民経済局は大学卒業者が市内中小企業に就職した場合に奨学金の返済を一部援助する制度の予算を新年度予算案に盛り込むよう財政局に要求しました。
 ところが財政局は、予算要求を却下。予算案の市長査定で河村市長の態度が注目されています。

若者の声

 学生と若者たちは先月31日、河村たかし名古屋市長に「来年度予算に奨学金制度の拡充を求める緊急署名」1240人分を提出しました。
 署名提出に参加した日本福祉大学4年生の川崎洋平さんは「卒業後、毎月6万円の返済。生活できるのか心配」、医療従事者の竹内一馬さん(29)は、「月1万6千円の返済が40歳まで続く」と語りました。
 1歳の子を抱いた若い母親は「私も夫も奨学金を借りました。夫は月2万3千円を返済中。子どもが小さいので、私の返済は延期中」と切々と訴えました。
 しかし、河村市長は実現を明言しませんでした。

世界最低水準

 日本学生支援機構が扱う奨学金だけでも利用者は、昨年度134万人となり、過去5年間で2倍以上に増えています。
 大学奨学金制度は給付型が世界標準。OECD(経済協力開発機構)加盟国のうち給付制がないのは日本とアイスランドだけ。国内総生産(GDP)に占める教育への公的支出割合は日本が最下位です。 
 深刻な事態打開へ日本共産党は全力をあげています。 
 昨年9月の愛知県議会で、日本共産党のしもおく奈歩県議は「若者の夢と希望を後押しするはずの奨学金が、多額の返済と取立ての厳しさにより、若者の人生を狂わせている」と告発。返済支援や県独自の給付制奨学金の新設を要求しました。
 1月22日の参院決算委員会で同党の田村智子議員は、深刻な奨学金返済の実態を突きつけ、安倍首相に「給付制をやらないといっているわけではない」と答弁させました。

若者の未来奪うな すやま初美 日本共産党参院愛知選挙区予定候補

 いま半数をこえる学生が奨学金を借りています。日本の大学の学費は世界一の高額です。アルバイトに追われて、学業に専念することができません。
 ところが、財務省は昨年10月、国立大学交付金を削減し授業料の大幅値上げを求める方針を打ち出しました。 若者から未来を奪う安倍自公政権は許せません。
 憲法26条は、すべての国民は「ひとしく教育を受ける権利を有する」と定めています。 
 「学びたくても学ぶことができない」という若者をこれ以上生まないために、返済の必要のない給付制奨学金制度の創設、教育予算の抜本的増額は待ったなしです。