愛知民報

【15.05.17】検証 中京都構想 「住民福祉の増進」眼中になく 大企業奉仕の強権機構

 大阪市を廃止して5つの特別区に分割する「大阪都」構想の是非を問う住民投票が5月17日に実施されます。くらしと自治を破壊する大阪市解体構想を推進するのは橋下徹大阪市長と「大阪維新の会」。現地の大阪市でも、全国でも批判が広がっています。「第3極」ブームがおきた2011年の愛知県知事選・名古屋市長選で、大村秀章知事と河村たかし名古屋市長は「大阪都」構想にあやかって「中京都」構想を共通公約にかかげました。いまどうなっているでしょうか。

「取締役会」

 大阪と中京の「都」構想に共通しているのは、大企業が世界一もうかる大都市圏づくりを推進する強権的な行政機構づくりです。
 大村・河村両氏は「中京都で「県と市を一体化し司令塔を一つにする」「全世界からヒト・モノ・カネを呼び込む」「国際的な競争に打ち勝つグローバル企業を誘致・育成する」「道路、鉄道、空港、IT(情報通信)網など社会インフラを集中的に整備する」とぶちあげました。
 知事、市長、財界・大企業代表で立ち上げたのが「中京独立戦略本部」。河村市長はこれを「愛知・名古屋株式会社の取締役会」と位置づけました。

サービス縮小

 地方自治体の本来使命である「住民福祉の増進」(地方自治法)は眼中にありません。
 「重複行政の排除」という名目で打ち出したのは「県立大学と市立大学の統合」「中京都内での水道事業の統合」。住民サービスの縮小や民間企業まかせにつながるもの。
 河村市長は「中区役所はユニクロに任せる」「地下鉄は民営化する」と発言しました。

宙に浮く

しかし、「中京都」構想は、名古屋市の廃止・解体には踏み込めず、「中京独立戦略本部」も宙に浮いています。 今年2月の知事選の大村知事の政策は「県と名古屋市が一体的に機能強化を図る『中京都構想』の推進」と県と市の連携強化の表現に後退しました。

JR・三菱・トヨタ

「中京都」構想に代わって前面に出てきたのが「リニア・ジェット・FCV」―JR東海・三菱・トヨタのプロジェクト応援です。「中京都」構想がゆきづまるなかで、大企業奉仕の正体がむきだしなり、県民との矛盾が深まっています。

候補立てられず

 4月の愛知県議選で、大村知事率いる「日本一愛知の会」は独自候補を擁立できず、事実上解体状態。橋下・「大阪維新の会」に連なる愛知の「維新の党」は、名古屋市議選で同党愛知県総支部幹事長が落選しました。
 「大阪都」構想・「中京都」構想の末路は見えています。 

大阪市廃止に反対 革新・愛知の会 住民投票を支援

 「平和・民主・革新の日本をめざす愛知の会」(革新・愛知の会)は8日、大阪市を廃止し5つの特別区に再編することの是非を問う住民投票(17日)で、「反対」の支援活動を同市北区で行いました。
 住民投票は「大阪都構想」に賛成する大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)と、反対する党派を超えた市民の共同勢力との厳しいつばぜり合いです。