名古屋で「原発ゼロ」求めデモ
関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の安全性が確保されていないと、住民が再稼動の差し止めを求めていた裁判で、福井地裁は5月21日、住民側の訴えを認め、関西電力に運転再開の差し止めを命じる判決を言い渡しました。
地裁判決は「深刻な事故が起これば多くの生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度な信頼性が求められる」と指摘。人格権が侵害される恐れがあるときは、侵害行為の差し止めを請求できると断言しています。
愛知県では、一宮、稲沢、愛西の各市の一部が大飯原発から100??圏内にあり、名古屋市も直線距離で約120??です。脱原発市民団体が同原発付近から風船を飛ばした調査では、愛知県内にも風船が落下。愛知県に放射性物質が拡散するおそれがあることを示しています。
愛知県内では毎週金曜日夜の関西電力東海支社前での抗議行動など、「原発ゼロ」を求める粘り強い共同の行動が行われています。
5月25日に名古屋市内で幅広い市民が共同する「原発ゼロを永遠に!名古屋アクション」が行われ、黄色い風船を掲げながら栄や大須の繁華街をデモ行進しました。
判決を受け止めよ 原発センターと共産党が申し入れ
原発問題愛知県連絡センターと日本共産党愛知県委員会は5月23日、名古屋市東区の関西電力東海支社に出向き、大飯原発3・4号機の運転差し止めを命じた福井地裁の判決に従い、控訴の取り下げと同原発再稼働断念を求め、同社社長あてに申し入れました。
日本共産党から、もとむら伸子参院愛知選挙区予定候補、いたくら正文、満仲みゆき、すやま初美、しもおく奈歩の各県議候補らが参加しました。
関西電力は判決を不服として22日、名古屋高裁金沢支部に控訴しました。
事故で生活が一変 福島告訴団長が強調
愛知県医療介護福祉労働組合連合会(愛知県医労連)が5月25日に名古屋市内で行った研究集会で、福島原発事故に関する東京電力とその幹部らの刑事責任を求めている「福島原発告訴団」団長の武藤類子さんが、震災後3年経過した福島の現状を報告しました(写真)。
東京地検は昨年、東電幹部らの不起訴を決定。同告訴団は東京検察審査会に審査を申し立てています。
武藤さんは、地震で散乱した家具などの片付けができず、建物がそのまま朽ちていく様子を紹介。また、除染作業で発生した放射性物質を含む土が集落の近くに積みあがっていることにも触れ、「原発事故は収束していない。風化は許さない」と力説しました。
また、武藤さんは自分が経営していた里山喫茶を閉めざるを得なかった経験にもふれました。「地元で取れた山菜やドングリを料理して出していたが、線量が高く出せなくなった。生活が一変した」と述べ、「原発事故はとりかえしがつかないもの」と強調しました。