愛知民報

【14.05.18】安倍「教育再生」 ねらいは戦争と企業奉仕の人づくり

 安倍自民党政権がすすめる「教育再生」のねらいは、ズバリ、「戦争する国」づくりとグローバル大企業の国際競争力強化に役立つ人材づくりです。県内で、安倍流の反動的な教育改悪の“地ならし”や“先取り”につながる動きが起きています。他方、教育の自主性を守り、ゆきとどいた教育をすすめる県民の運動が広がっています。

愛国心教育

 安倍流の「愛国心」教育の特徴は、かつて日本がおこなった侵略戦争を「自衛戦争」と正当化し、集団的自衛権の行使など「海外で戦争する国」づくりをささえる若者づくりです。

異常な競争主義

 安倍政権は、財界が求める「グローバル人材」育成のため、競争教育を徹底しようとしています。そのテコが「全国学力テスト」。各学校の平均点公表や学校ランキング、平均点以下の下位校の校長名公表で、「もっと競争せよ」とあおろうとしています。

道徳の教科化

 安倍流の「教育再生」を推進する下村文科相は、戦前の「教育勅語」を「至極もっとも」とする復古主義者。教育勅語は、日本は天皇が支配する国という皇国史観の立場から国民を「臣民」と呼び、「一旦緩急あれば義勇公に報じ」と、参戦を国民に義務づけるものでした。

教育委員会制度改悪

 教育委員会制度の改悪は、教育委員会を国と自治体首長の支配下におき、教育の国家統制をつよめるものです。そのねらいは、侵略戦争美化の「愛国心」教育や異常な競争主義を教育現場におしつけることです。

愛知―地ならしか、先取りか 県内の動き

★トヨタ幹部を教育委員に招く
 名古屋市の河村たかし市長は、ネッツトヨタ名古屋社長を市の教育委員に任命しました。
 同市長はかつて有名進学塾の経営者を教育委員に推し、市民から公教育の民営化や競争主義強化につながると批判を受け、断念したことがあります。 
★右派議員が歴史教科書で集会
 右翼団体「日本会議」系の名古屋市会議員が議会棟内で、侵略戦争美化の歴史教科書の採用を求める集会を開きました。
 河村市長も出席し、日本軍がおこなった南京虐殺事件を否定する立場の教科書採択を求める発言をおこなっています。 
★中経連が「教育改革」を要求
 財界団体の中部経済連合会は2月、「育成・供給される人材が企業が求める人材像としている」「企業の教育コストが増大している」として、グローバル人材育成重視の教育再編を求めています。
★県が道徳教育推進
 愛知県の大村知事は新年度予算に道徳教育推進事業費約400万円を盛り込みました。県立の8高校、2特別支援学校を道徳教育推進の研究指定校にしています。
★教育委改悪に連動
 大村県政が昨年暮れに発表した愛知県の今後のあり方を示す「あいちビジョン2020」には、「教育委員会制度改革の動向を踏まえ、本県における教育行政体制の見直し」を進めると、安倍政権の教育委員会の反動的改悪に連動する方向が盛り込まれています。
    
★中学生に戦闘訓練
 2002年の学習指導要領改定で「総合的な学習の時間」が位置づけられて以後、自衛隊体験学習が増えています。 

侵略美化の教科書を 採択させるねらい 宮本たけし衆院議員が告発

 日本共産党の宮本岳志衆院議員は、9日の衆院文部科学委員会で、「教育委員会改悪案は侵略美化の教科書を採択させることが狙いだ」と告発しました。
 宮本氏は安倍晋三首相や下村博文文科相が2011年5月に「教科書改善の会」が開いたシンポジウムで「教育基本法の趣旨を最も踏まえた教科書は育鵬社」と発言していることを紹介。「政治家としての本音」と強調しました。
 育鵬社発行の中学生向けの歴史と公民の教科書は、日本軍「慰安婦」や南京虐殺の歴史事実を否定し、侵略戦争を美化しています。
 また、戦前の大日本帝国憲法を肯定し、現憲法の改定へ生徒を誘導する内容です。