愛知民報

【13.07.21】核兵器廃絶に確信 世界動かす?草の根?の力

 
 広島・長崎への原爆投下から68年目の8月、原水爆禁止世界大会が開催されます。愛知でも準備が急ピッチで行われています。原水爆禁止愛知県協議会(愛知県原水協)の小田前恵子事務局次長(31)に地域での運動、世界への情報発信、被爆体験の記録など多彩な取り組みを聞きました。(本紙・村瀬和弘)

 今年4月22日から5月3日まで、スイスのジュネーブで開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議第2回準備委員会。日本原水協と日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の18人は各国政府代表への要請、原爆パネル展示、日本代表部へのアピールと精力的に活動しました。愛知から小田前さんを含む5人が参加しました。

 小田前さんは「展示を見た人の多くが、広島、長崎への原爆投下は知っていても?被爆者?という言葉を知らなかったことに驚きました。存命者がいることが知られていません」と言います。

 小田前さんは、エジプト、ニュージーランド、南アフリカ、ブラジルの大使に要請しました。「どの国も核兵器廃絶に熱心で、ブラジル代表の『核兵器廃絶を実行させるのは国民の圧力』という発言が印象的でした。職場、地域、学園、街頭でコツコツ集める反核署名が世界を動かすことを改めて実感しました」

 日本政府は、南アフリカ代表団が提出し80カ国が名を連ねた「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同しませんでした。「被爆国の政府なのに恥ずかしい。抗議デモを行いました」
 

 

立場こえ広がる共同

 「核兵器なくせ」の世論の広がりは、5月31日から6月11日まで愛知県内を歩いた「あいち平和行進」にも現れました。38コースに7805人、沿道募金は37万円を超えました。

 「幼子を連れた女性が、『核兵器などもってのほか。未来に残せない』と署名してくれました。休日返上で協力してくれた自治体もあります。運動の積み重ねが立場を超えた共同に広がっています」

 今年の原水爆禁止世界大会のメーン集会は長崎で行われます。「核兵器廃絶に向かう世界の大きな流れを体感できます。愛知から一人でも多く送りたい。青年学生ツアーは平和資料館の見学など学習を重視した内容です。中学生、高校生も含め参加者募集中です」

被爆者の体験  ビデオで記録

 被爆者が高齢化し、その体験の記録、継承は緊急の課題です。愛知県原水協は2008年7月に被爆者の話を録画をする「聞き撮りプロジェクト」を開始。これまで45人から話を聞きました。

 「被爆体験の話だけではありません。結婚、出産、子育てなど人生の節目に立ちはだかった困難を必死に乗り越えた?生きざま?を語ってもらいました。それぞれまったく違う体験をしています。だからその記憶を記録にしなければなりません」

 つらい体験を封印してきた人も多く、ビデオ撮影に応じた人たちは一大決心した人ばかりです。

 「初めて被爆体験を話される人、『孫が生まれてから話す』という人もいます。本人に責任がないのに、みんな被爆の影におびえています」

 小田前さんは言います。「私たち若い世代が自分の言葉で話せるようになることが大切ですね。核兵器は必ずなくせます。これは活動を通じての確信です」