愛知県で10月9日から14日まで、2012国際航空宇宙展が開かれました。主催は三菱、川崎、富士の3大兵器メーカーが中心の一般社団法人・日本航空宇宙工業会。国が後援し、地元自治体が協力しました。展示では民間航空機を前面にしながらも、無人攻撃機など最新兵器をアピール。憲法9条をもつ日本に“反憲法”空間が出現しました。会場は名古屋市港区の「ポートメッセなごや」と常滑市の中部国際空港。
最新兵器などの大商談会 ポートメッセなごや
9日は、「ポートメッセ」で業界関係者向けの大商談会。三菱重工、川崎重工、富士重工、IHIなどの航空宇宙企業、JAXA(宇宙航空研究開発機構)など政府外郭団体などの展示が並びました。
重工メーカーは民生向けと同時に、F2戦闘機、XP1哨戒機など、防衛省に納入している軍用機やエンジンを出展しました。
アメリカのボーイング社はオスプレイやKC767空中給油機、ロッキード・マーチン社はミサイルの模型を並べ戦力を誇示。
来場者向け資料やビデオも軍用機やミサイル、装甲車など兵器のオンパレードでした。
総合商社・伊藤忠商事はイラク戦争で米空軍が使用した無人偵察機を宣伝。記者の質問に、担当者は自慢げに「東日本大震災のときに福島上空を飛びました。アメリカから直接遠隔操作で飛ばせます」と説明しました。
同社は防衛省に戦闘機や空中給油輸送機、無人偵察機などの売り込み攻勢。同省は無人偵察機を次期中期防衛力整備計画(2016~20年)で導入し、米軍との共同運用を検討しています。
空自機が危険飛行 中部国際空港
記者は13日、中部国際空港会場を回りました。
屋外展示場には、小型ビジネス機、マスコミ取材機のほか、自衛隊のC1中型輸送機、T4ジェット練習機、対潜水艦戦用や偵察・連絡用のヘリコプターが並んでいました。同空港での自衛隊機の展示は始めてです。
屋内展示場でも、自衛隊が最新鋭機の模型や写真を展示し、自衛隊機の操縦士を養成する航空学校への入学を誘っていました。
昼、中部国際空港西側の伊勢湾上空で航空自衛隊のアクロバット飛行チーム、ブルーインパルスの飛行ショーが行われました。
ブルーインパルスの所属は宮城県の航空自衛隊松島基地。愛知県の小牧基地に飛来して飛行ショーを準備しました。
見物人から「来た、来た」の声があがり、空港にブルーインパルス6機が接近。編隊での背面飛行や、機体後尾から噴き出す白煙で円を描く旋回飛行を行いました。
定期旅客機が頻繁に離発着する民間空港の上空でのアクロバット飛行は異例です。
ブルーインパルスのアクロバット飛行は、これまで航空自衛隊小牧基地が同基地の航空祭で実施を計画。平和団体や地元住民が「危険」として反対し、実施が阻まれてきました。
平和団体は、憲法9条をふみにじる、航空宇宙の軍事利用をきびしく批判しています。
ねらいは武器輸出の条件づくり
愛知県は昨年末に「アジアNo1航空宇宙産業クラスター形成特区」の指定を受け、愛知を航空宇宙機器製造の国際拠点にしようとしています。ブドウの房を意味する「クラスター」を支配するのは、三菱、川崎、富士の三大航空兵器メーカー。航空宇宙工業会の実態は軍需産業です。
彼らは、民間旅客機にとどまらず、航空宇宙兵器でも米国メーカーと連携し、国際兵器市場への進出、武器輸出の条件をつくろうとしています。
そのもくろみが政治の舞台では宇宙開発の平和目的の制限撤廃と軍事利用、武器輸出解禁や9条改憲の動きとなり、政治の反動化を促しています。