愛知民報

【12.05.13】がんばる農民連 安全な食料 愛知の大地から 

 5月1日、野田佳彦首相が民主党政権の首相としてはじめてアメリカを公式訪問し、オバマ大統領と「未来に向けた共通のビジョン」と題する共同声明を発表しました。声明は軍事面だけでなく経済面でも日米同盟を強化するもの。日本国民の声に押され、声明にTPP(環太平洋連携協定)参加は盛り込まれなかったものの、野田首相は参加の「考えは変わっていない」と述べました。さらなる市場開放と規制緩和を押し付けるアメリカとそれに屈服する日本政府に、愛知でも各界から批判の声が上がっています。

 
 愛知は全国でも有数の農業県で、野菜、花卉(かき)を中心に出荷量、出荷額とも全国上位。冬から春にかけてキャベツ、レタス、ブロッコリーなどの葉物野菜の出荷が盛んになります。県内のキャベツは作付面積、生産量とも日本一。主な産地は豊橋市、田原市です。野菜農家のなかで、T
PP交渉参加への不安や怒りがわき起こっています。

 豊橋市内に約2?の畑を持ち、キャベツ、ブロッコリー、たまねぎなどを生産する早崎英夫さん(67)は「キャベツ栽培にはこまめな草取りが必要です。TPPで大規模農業が押し付けられれば手作業での草取りができず、農薬を増やさざるを得ない。病虫害に強い遺伝子組み換え作物も増え
るでしょう。農薬メーカー、種苗メーカーにとってはTPPはビジネスチャンスでしょう」と指摘します。

 早崎さんの畑では害虫を防ぐ最低限の消毒だけで、除草剤は使いません。「仕事は好きだけど、後継者が育たないのが悩み」とも言います。

 農民運動愛知県連合会(愛知農民連)の本多正一事務局長(53)は、宅配向けキャベツの包装、出荷作業をしながら語りました。「生産者の顔が見える農業だから、自信を持って商品をすすめることができます。TPPは生産者にとっても消費者にとっても?百害あって一利なし?です」

TPP反対です 

 JAグループ愛知は3月に名古屋市内でTPP反対集会を行うとともに、街頭宣伝や地方議会に働きかけ、昨年12月以降、県内5市町でTPP交渉に反対する意見書が可決されています。

 日本共産党東三地区委員会が1月に豊橋市で開いたTPP反対集会には豊川、蒲郡両市のJAから連帯メッセージが届けられました。

 愛知県漁業組合連合会の和出隆治常務理事は昨年11月、日本共産党愛知県委員会との話し合いで「TPPに参加すれば輸入水産物の増大で廃業が続出する。水産物の貿易自由化は輸出目的の乱獲も助長する」と強調しました。

 愛知県森林組合連合会の村松幹彦会長は共産党との懇談の席で「木材輸入自由化で林業は著しく停滞した。農漁業に同じ轍を踏ませたくない」と述べました。

 日本医師会はTPPについて「本当にお金がなければ医療が受けられない時代がやってきます」と指摘。国民皆保険制度の維持・向上に向けて行動すると表明しています。

 愛知県医師会の伊藤宣夫理事は昨年10月、TPP参加反対を申し入れた日本共産党愛知県委員会の役員に、「受益者負担という考え方自体けしからん」と応じました。

アメリカ 関税ゼロ迫る 志位和夫委員長が指摘

 アメリカの要求には、コメも畜産物も乳製品も例外なく関税撤廃をおこなえ、非関税障壁の撤廃で食品添加物や残留農薬、遺伝子組み換え表示の規制緩和をおこなえ、政府調達(自治体の官公需や公共事業)をアメリカのゼネコンに開放せよ、いい医療を大金持ちだけが受け、お金がない方は受けられないという、アメリカの映画『シッコ』のような医療格差を持ち込む混合医療を自由化せよ―などが並んでいます。これだけ並べられても、野田政権にまともな交渉ができるわけがありません。(4月22日、愛知県体育館での演説)