内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が3月末に発表した、東海地震などの震度と津波高の予測値はこれまでの想定を大きく上回りました。地元住民は大きな衝撃を受け、防災対策の抜本的見直しを迫られています。日本共産党の国政候補や地方議員らは、大被害が想定される地域の視察や自治体、漁業関係者らと意見交換を行うなど、住民のいのちを守る先頭に立っています。
震度7、津波高20メートルの想定が出された田原市は深刻です。同市は太平洋と三河湾に面する渥美半島のほぼ全域に、約100キロメートルの海岸線があります。人口は約6万6000人。トヨタ自動車田原工場などがある臨海部の就業者は1万5000人を超えます。
同市では中央防災会議が2003年に示したマグニチュード8・8、津波高7~9メートルを想定して浸水マップを作成しました。
ところが新しい国の想定では、浸水予想域が大幅に広がることが判明。同市が完成させたばかりの津波防災マップの配布は急きょ取り止めになりました。
日本共産党の、かわえ明美衆院比例東海ブロック予定候補、くしだ真吾衆院愛知15区予定候補、もとむら伸子参院愛知選挙区予定候補らは20日、同市を訪問し、林勇夫副市長、同市消防本部の大根義久危機管理監らと津波防災や震災がれき処理の問題で話し合いました。
林副市長は「臨海部には工業地帯があり、津波と液状化が心配。海岸の整備を国と愛知県に要望する。津波時に早く逃げることを徹底したい」と述べました。
大根危機管理監は「市内全域に20メートルの防波堤をつくることは困難。津波から逃げる時間を稼ぐためにも、港や臨海工業地帯での重点的な堤防整備や道路のかさ上げが必要」と話しました。
愛知県がトヨタ自動車田原工場内の敷地で東北被災地の震災がれきを受け入れようとしている問題で、林副市長は「地元の頭越しに決める県のやり方には憤慨している。手順が間違っている。東三河8市町村で東北を視察し、がれきに対する要望を現地から聞いて対応を検討したい」と述べました。
かわえ氏は「津波対策は自治体だけでは対応できず、繰り返し国に働きかける。がれき処理も地元の合意が必要」と応じました。
かわえ氏らは沿岸部を視察。漁業を営む男性は「港周辺の海抜表示増設や高台への経路の確保、津波タワーの設置を急いでほしい」と話しました。