愛知民報

【12.04.22】南海トラフ巨大地震 知多半島震度7、津波10メートルも

 内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が3月31日に発表した、東海・東南海・南海地震による震度分布と津波高の最大予測値は従来の予測を大幅に上回り、地震・防災対策の抜本的な見直しが求められています。伊勢湾、三河湾、遠州灘の沿岸域では伊勢湾台風直後に建設された古い海岸堤防の老朽化対策が急務となっています。コンクリートのひび割れ、空洞、陥没といった危険とともに、地震による地盤の液状化で、堤防そのものが沈下し、津波の浸入を防げないおそれも指摘されています。日本共産党の国政選挙予定候補や地方議員らは、防災優先のまちづくり、原発ゼロの取り組みに全力をあげています。

日本共産党 かわえ、長友、もとむら氏 沿岸部を緊急調査

 
 かわえ明美衆院比例東海ブロック予定候補、長友ただひろ衆院愛知8区予定候補、もとむら伸子参院愛知選挙区予定候補らは14日、南海トラフ巨大地震で甚大な影響が予想される南知多町、美浜町、常滑市、知多市を訪問。堤防など防波施設や防災無線の調査、漁協や観光協会の役員、住民らと話し合いました。

 南知多町が今年3月に作成した「津波避難防災マップ」には町内の海抜と避難場所、津波避難協定ビル、医療機関の位置が示されています。しかし、前提となる津波の高さの想定は6メートル。今回の新規定は10メートルとされており、マップの見直しが求められています。

 同町の内海地区には低地市街区が広がっており、一時避難所である高台までの距離が1キロメートルを越すところもあり、住民は不安を訴えます。

 日本共産党の山下節子南知多町議は「伊勢湾台風の復興事業で造られた築50年の古い堤防があり、台風や高潮防災の観点でも危険」といいます。

 一行を案内した地元役員は「もし10メートルの津波が来たら地区全体が水没する。海は地元の観光業を支える財産。国、県、町は景観にも十分配慮しながら堤防強化などの対策に力を入れてほしい」と話しました。

 海岸近くの旅館経営者は「これまで同業者の間で、旅館を災害発生後の救援活動の拠点とすることを話し合ってきた。しかし10メートルの津波ならそれも困難。国や県は科学的な対策を急いでほしい」と訴えました。

 「高齢者が多い町なので避難路に手すりを設置するなど、町全体をバリアフリー化することが重要」との意見も出ました。

 美浜町では、日本共産党の山本辰見町議の案内で、15年ほど前に改築された同町小野浦の海岸堤防、昨年度から稼動しはじめた防災無線受信機を視察しました。地元役員は「大津波が来たら逃げるしかない」といいます。防災行政無線のスピーカーを海向けにも設け、海で作業中の人にも聴こえるようにすることや、水没時の電源確保の課題なども話し合われました。

 美浜町と常滑、知多両市では、海岸部の住民や漁業協同組合関係者とも意見交換し、防波堤の視察もおこないました。

 
南知多町内海の海岸付近。海沿いに民家が立ち並んでいる。

愛知県は万全の対策を早く

 愛知県は1995年の阪神・淡路大震災を受けて、地盤の液状化で海岸堤防が沈下し浸水する恐れのある区間のうち、後背地の標高が低く、大きな被害が想定される堤防40・6キロメートルの耐震化工事に着手しました。

 しかし、2010年度末に完了した区間は25・5キロメートルにとどまっています。

 埋立地や港湾も含めた愛知県の海岸線の総延長は約600キロメートル。新想定に基づき、津波被害を最小限に抑えるため万全の対策が求められています。