愛知民報

【12.03.11】佐々木憲昭衆院議員 企業年金消失を追及 金融庁の検査はごく一部

愛知関係191億円

 
 AIJ投資顧問(東京都中央区)による企業年金資金消失で、愛知県内で6つの企業年金が約191億円を同社に運用委託していたことが判明。加入者から不安と怒りの声があがっています。

 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は、2月24日の衆議院財務金融委員会で国の監督不行届を追及。検査体制の強化を求めました。金融庁は投資顧問会社の一斉調査をはじめました。

 企業年金(厚生年金基金)とは、公的年金とは別に企業や業界で資金を積み立て、年金を「上乗せ」するもの。AIJの取引先の多くは「総合型」といわれる業界の年金基金。

 その一つ、愛知県トラック事業厚生年金基金には400社以上、2万5000人を超える労働者が加入。同基金はAIJに基金全体の11・7%、約89億円を委託していました。担当者は「加入社から年金がどうなるのか問い合わせの電話が殺到している」と困惑しています。

 企業年金の資金運用は、かつては半分以上を国債・地方債等とするという規制がありました。1997年に規制が撤廃され、運用は各基金の自己責任に。07年施行の金融商品取引法で、投資顧問業への参入が許可制から登録制となり、監視体制が甘くなっています。

 佐々木氏は、顧問会社に対する検査がまともに行われていなかったことは重大だと指摘。中塚一宏内閣府副大臣は、263社の投資顧問会社の一斉調査を行うことを明らかにしました。自見庄三郎金融担当相は「ご批判を真摯に受け止め、対策を速やかに実行する」と答えました。

 佐々木氏は「貯蓄から投資への流れのなかで投機的取引がエスカレートしたことが根っこにあります。規制緩和の見直しが必要」と話しています。

AIJに運用委託した愛知関係の厚生年金基金(公表分。単位:億円)

 名称 委託残高 
 愛知県トラック  89.3
 愛鉄連  46.7
 愛知県石油  19.8
 中部電気工事業  15.1
 名古屋乗用自動車  11.5
 中日本段ボール   9.0