愛知民報

【12.02.19】大村・河村・橋下・石原「連携」どこへ行く?? 弱肉強食の街に

道州制へ

 A 地方制度ではどうだろう。

 B 道州制導入の方向は大村・河村・橋下氏らは一致している。全国47の都道府県を合併し、10程度の道と州をつくる。大阪都とか中京都は道州制導入の起爆剤で、州の中心をつくるねらいと見る。

 C 道州制は自民党政権時代に政治課題となり、民主党政権に引き継がれた。

 国の仕事を国防、外交、司法などに特化する。道と州は広域的な産業政策と大型開発を担う。民生事業は市町村を合併した基礎自治体や「地域自治組織」にまかせる。

 A 財界は道州制を「究極の構造改革」と言っている。日本経団連は2015年までの導入を要求している。

都知事君臨

 B 橋下・大阪都構想は府を都に切り換え、大阪市を廃止し、大阪市内24区と周辺市を合併させ、9つほどの特別自治区に再編成する。特別自治区とそのほかの市の上に、都知事が君臨する形だ。

 A 愛知県と名古屋市は2月9日、大村知事、河村市長、財界代表らによる第1回の中京独立戦略本部の会議をおこなった。

 C 中京都構想は大阪都のような行政機構の再編はまだ出ていないが、財界・大企業中心の大都市改造というねらいは同じだ。

切り捨て

 B 国や地方自治体の社会保障・福祉責任を解体し、財源を財界・大企業応援と軍事大国化に集中させる。

 いまの憲法と地方自治法が保障する地方自治と公的福祉の仕組みを解体していく。

 A そうなると、都市の姿はどうなるか。

 B 大都市圏を多国籍企業・大企業が稼げる地域に大改造する。一方、住民には弱肉強食、福祉営利化、家計負担増、貧困と格差の殺伐とした街になる。

 C 地方の「独立」「共和国」とか言うが、要は、国は地方に責任をもたない、地方は企業を集め、税収を稼ぎなさいと言うこと。企業にうま味のない地方は切り捨てられる。大都市圏内でも地域の衰退が広がる。これでは税収も増えない。

財界支配

 B 中京独立戦略本部は知事・名古屋市長を本部長に11人の本部員がいるが、トヨタ自動車副社長、JR東海副社長、中部経済団体連合会副会長といった財界・大企業の代表が5人入っている。

 多国籍大企業奉仕の新自由主義「構造改革」の司令塔となった小泉内閣の「経済財政諮問会議」の中京版を思わせる。

 C 愛知県と名古屋市の権限と財源を合体させ、財界が求める大型開発事業、大企業優遇措置や規制緩和を効率的に推進するのが目的だろう。 

 B 憲法を生かして地方自治の拡充や、県・市を住民福祉の増進機関として発展させる住民本位の立場にたったまちづくりの運動が求められている。

河村減税

 A 減税一点張りの河村市長と、橋下・大村・石原氏らには溝があると言われる。河村氏が置いてけ堀を食わないように、減税タナ上げの報道もあった。名古屋市議会では「減税日本の名を変えよ」と言う声も出た。

 B 河村減税はもうけている大企業・大資産家に手厚い減税で、この点では自民党なども同意するが、減税一点張りの企業誘致効果や財政運営に不安を感じているのでは。

 C 4人とも大企業・富裕層を大もうけさせて「経済再生」を図る点では同じだが、河村減税が大企業・富裕層の誘致や投資を促進する効果には疑問を持っているようだ。

 大村知事は河村市長との共通マニュフェストの「県民税減税」の2012年度実施を見送った。石原東京都知事も都民税減税の公約を捨てたことがある。

 B 大村知事は法人県民税の減税分を大企業支援の補助拡大に集中させる。次世代モビリティはトヨタ、航空宇宙は三菱と、ずばり巨大企業だ。

住民にツケ

 C 減税にせよ、補助金にせよ、大企業・富裕層奉仕のツケは庶民に回される。
 名古屋市は、市立病院の民間売却、敬老パス見直し、女性会館廃止、県は福祉医療無料制度の有料化の検討を言い出した。

 B 住民犠牲を許さない運動が広がっている。愛知県の福祉医療無料制度を継続・拡充を求める運動、河村市政の福祉・市民サービス切り捨てに反対する市民集会が開かれた。