愛知民報

【11.12.18】就職厳しい 大学生、教職員、労働者らがシンポ 

社会全体で雇用確保を

 
 青年の就職内定率が厳しいなかで、「高校生と大学生と青年の雇用を考えるシンポジウム」が3日、名古屋市で開かれました。

 愛知県高等学校教職員組合(愛高教)、名古屋市高等学校教員組合(名高教)、愛知県労働組合総連合(愛労連)などの「青年の就職保障と労働を考える愛知県連絡会」が主催。高校・大学教員、中小企業経営者、ハローワーク職員、大学生らが実態を報告し、参加者と討論しました。

 高校新卒者の内定率は全国41%、愛知58・4%と厳しく、「求人が少なく、生徒間で就職先の取り合いになっている」などの状況や、大学では就職活動に追われて、学業がつぶされる実態も報告されました。

 愛高教が行った就職希望者の多い県立高校45校の調査では、4~5月に4575人いた就職希望者が10月末には100人以上減り、就職を断念したことが明らかにされました。

 愛労連の榑松(くれまつ)佐一議長は「資格をとっても就職できない実態がある。労働現場では長時間残業や公務員の採用抑制、非正規雇用を広げる労働者派遣法が温存されようとしている。親は子どもたちが学校を卒業したら就職することを望んでいる。社会全体で就職を支援していこう」と呼びかけました。

 中京大学の竹田昌次教授、愛知中小企業家同友会の北川誠治氏らが報告しました。

大学生ではなく「就活生」 中京大学教授 竹田昌次さんの発言

 多くの学生は、3年生前半までは授業とアルバイトに時間を費やし、ゼミと卒業論文を除くほとんどの単位を取得します。

 3年生後半に就職活動が始まり、大学の就職課は100社以上に就職の意思表示をするよう指導しているそうです。その後、会社ごとに志望動機が異なる履歴書を最低でも30枚は書きますが、2、3社から内々定がもらえれば順調といえます。

 アルバイトを減らして面接準備を続けますが、東京や大阪の面接でも交通費は出ず、この時期の学生は貧乏のどん底です。「半年間、美容院にも、服を買いにもいけない」とこぼす学生もいます。

 これでは「大学生」ではなく「就活生」と言わざるを得ない。いちばん勉強する時期は3年生の秋で、それが12月にブチッと切られてしまうんです。

 早過ぎる就職活動が大学教育を破壊しています。企業に人を見る目、育てる力があれば、選考に3カ月も必要ありません。採用活動の通年化や就職活動の長期化は学生にも企業にもよくないと思います。

大手が人材を独占 愛知中小企業家同友会 北川誠治さんの発言

 毎年3月と5月に、中小企業家同友会の合同企業説明会を開きますが、それでも大企業より2カ月は遅いのです。大手の?青田買い?とも言える早期からの採用活動で、人材が大企業に独占されます。

 中小企業も乗り遅れないようにと、早い時期から採用活動をせざるを得ません。

 本当に会社に興味を持って、そこで働きたい学生に来てほしいと思っています。

 同友会では採用とともに教育を重視しています。入社後に大きく成長する新入社員はたくさんいます。企業の教育制度や手法にかかってきます。3000社の会員企業が教育の手法を勉強しています。