愛知民報

【11.12.11】愛知・名古屋「中京都構想」 大阪ダブル選 影響どう見る 日本共産党愛知県委員会・林信敏自治体部長に聞く

大企業誘致・大型開発加速 福祉切捨て行革競争

 11月27日投票の大阪府知事・市長選挙で、大村秀章愛知県知事・河村たかし名古屋市長が応援した「大阪維新の会」代表の橋下徹前大阪府知事が大阪市長に、同会幹事長の松井一郎氏が府知事に当選しました。愛知・名古屋への影響をどう見るか、林信敏さん(日本共産党愛知県委員会自治体部長)に聞きました。

あぶない逆行

 ―まず、橋下氏らの勝利をどう見る。

 大阪の経済危機や政治の閉塞状態の打開を求める思いが橋下氏に向かったと思います。 しかし、橋下「改革」の大阪都構想は、独裁的な権力で大阪市を解体し、福祉を壊し、大阪の力を大企業支援に集中する仕組みをつくるものです。

 この方向は、福祉充実や生活支援、地域経済の活性化、民主主義を求める市民の願いに逆行します。早晩ゆきづまります。

「反独裁」

―愛知・名古屋への影響は。

 「政治には独裁が必要」という橋下氏が出馬した大阪市長選は「独裁か、反独裁か」が大争点になりました。大村知事と河村市長は「独裁」の側に立ちました。

 愛知・名古屋では、大村・河村「行革」から福祉・暮らしを守るたたかいと、「反独裁」の民主主義を守るたたかいが合流して前進するでしょう。

民生削減

 ―「中京都」構想は動くか。

 いまの名古屋市内の行政区と周辺市を合併して公選区長と区議会をもつ東京都型の特別区に再編する方向には動かないでしょう。

 しかし、愛知県・名古屋市の連携で大企業誘致を促進する大型開発への投資、その財源づくりのために、県・市の民生部門の職員を徹底的に削減し、福祉・生活支援事業を縮小する「行革」競争や、道州制への動きが強まるおそれがあります。

減税の行方

 ―河村・大村「減税」の行方は。

 大村知事は県民税減税の来年度実施を放棄しました。「減税で日本を変える」とぶちあげましたが、早くもつまずきました。

 河村「減税」の目的は、大企業・大資産家優遇税制の民主的改革や庶民の生活支援ではありません。生活応援から大企業応援へ、予算の流れを変える「構造改革」です。

 減税で市の税収を減らし、「否応なしの行財政改革」に持ち込む。しかし大型事業には切り込まない。攻撃対象は福祉です。「福祉は寄付でやってもらう」「税金が安いと市役所あげて企業・高額所得者誘致をやる」と言っています。河村「庶民革命」の実態は「金持ち革命」です。

希望の道

 ―橋下・大村・河村氏は連携し、国政進出をねらうようです。

 彼らが国政進出の構えを見せることは、民主党政権や民主・自民・公明のよりいっそうの反動化を促進することになります。

 日本の政治は「危機」と「希望」の岐路に立っています。2009年総選挙で自公政権を退場させた国民は「希望」を求めています。

 反動化を阻止するために、次期総選挙で日本共産党が閉塞打開の展望を示して前進することが切実に求められていると思います。

解説 中京都構想

 「中京都構想」は、大村愛知県知事と河村名古屋市長が今年2月の知事選・市長選で掲げた共同マニフェストの政策。「世界と闘える愛知・名古屋」をつくるとして、愛知県と名古屋市の権限や財源を合体し、大企業誘致を促進するための高速道路、空港、港湾、高層ビルなど大型インフラ(基盤)整備を推進する広域行政構想。

 「中京都」の具体的な計画を決めるのは知事・名古屋市長・大企業首脳でつくる「中京独立戦略本部」。河村市長はこれを「愛知・名古屋株式会社の取締役会」と位置づけています。

 大型インフラ整備に財源を集中するため、「行革」や「事業仕分け」で生活予算を徹底的に縮減。自治体を「住民福祉増進の機関」から「企業利益増進の開発会社」に完全変質させる方向です。