愛知民報

【11.11.13】愛知の空港問題5 県営名古屋空港 強まる戦争基地化 許さぬ県民運動を

軍事利用

 ――県営名古屋空港の問題は。

 もっとも重大なのは軍事利用の拡大・強化です。民主党政権は、自民党政権から米軍支援の自衛隊海外派兵路線を引き継ぎました。そのもとで、新鋭の空中給油機とイラク戦争に参加したC130輸送機をもつ小牧基地は侵略的な戦争基地の性格を強めています。
県営空港上空を飛ぶ空自空中給油機KC767。尾翼下に給油パイプがある。

米軍機に給油

 ――米軍と自衛隊の間の共同空中給油訓練の覚書が問題になっている。

 自衛隊の空中給油機が米軍機にも給油できるという内容です。

 ワシントン発の時事通信(10月3日付)は、日本の防衛省は「日本から米軍機への空中給油は共同訓練に限定されず、周辺事態や武力攻撃事態の米軍への後方支援でも可能」と説明し、米軍側も期待していると伝えています。覚書は、小牧基地の空中給油機を参戦させる危険なものです。

管制支配

空自小牧基地内に移設された県営名古屋空港の新管制塔。地上手前は航空祭で展示された地対空ミサイル=10月23日、小牧基地航空祭
 ――県営名古屋空港の管制塔が9月に基地側に移設された。

 管制塔は、離着陸を指示する司令塔です。県営空港の管制業務は自衛隊に委託されていますが、建物は民間空港側にありました。

 基地内に移され、自衛隊支配になります。有事法制にそった空港の軍事優先使用がねらいです。県営空港の実質「基地化」がすすんでいます。

事故の不安

 ――空港周辺住民に不安が広がっている。

 名古屋空港の使用が自衛隊中心になって以後、軍用機事故が相次いでいます。

 戦闘機を点検・修理する三菱重工が県営空港を使用していることも事故を増大させています。

 自衛隊F2戦闘機の滑走路での墜落炎上、米海軍戦闘攻撃機の緊急着陸による空港施設の破壊、この9月には自衛隊F4戦闘機が燃料漏れで緊急着陸しました。

産業軍事化

 ――県は航空宇宙産業に力を入れている。

 民間機や宇宙の平和利用の研究開発は必要ですが、航空宇宙産業の基盤は戦闘機やミサイルといった航空兵器の生産という点を見落してはなりません。

 日本の軍需企業は兵器生産増大、武器輸出解禁を求めています。きびしい監視と軍拡反対の運動が必要です。

9条の力

 ――10月に小牧平和集会がおこなわれた。

 基地強化反対と県営空港の平和利用を求める行動でした。憲法9条を生かす平和運動こそ安心・安全・便利な空港を築く力です。

【県営名古屋空港】名古屋市北区に隣接する西春日井郡豊山町にある。2005年、常滑の中部国際空港開港に伴い、名古屋空港の設置管理者は国土交通省から愛知県に移行。国内線の小型旅客機が就航する小型機専用飛行場となった。滑走路は2740メートル。航空自衛隊小牧基地所属機、三菱重工で点検・修理される自衛隊機、米軍機も利用する「軍民共用飛行場」。