雑草茂る
―愛知県がすすめてきた臨空都市開発は。
愛知県企業庁は、2430億円を投じて空港島と対岸部に合計230ヘクタール、ナゴヤドームの敷地面積の23倍という広大な埋立地をつくりました。これが中部臨空都市用地造成事業です。
空港開港から6年余。中部臨空都市用地に国際都市の姿はなく、雑草の茂る空き地が広がっています。
各党は
―各党の態度は。
財界や自民、民主などの県政与党は、中部国際空港ができれば、世界からヒト・モノ・カネが常滑に集まる、その受け皿になる臨空都市機能が必要だと主張しました。
日本共産党は、関西空港の「りんくうタウン」の失敗など各地の空港関連開発の実態を調査し、大空港といえども臨空都市を成立させるほどの経済効果はない、公金の無駄遣いと環境破壊になると批判しました。
破たん隠し
―県は今年、臨海と内陸の用地造成事業を統合した。
臨空都市開発事業の「破たん隠し」と見ています。処分(分譲・賃貸)計画面積142ヘクタールのうち、今年3月末の契約済み面積は39ヘクタール、処分率27%という少ない状況です。
一方、埋立事業に使った借金の元利返済額は10~12年度計1576億円にのぼります。臨空開発をかかえる臨海事業会計は資金ショート寸前ではないか。
そこで、臨海と内陸の両事業を統合し、臨空の破たんをカバーしようとしている。危機の先送りです。
イオン誘致
―前島にイオンモールが進出するが。
大企業優遇の誘致政策の結果、市民にツケが回る面を見ておく必要があります。
経済統計によると、空港開港後も常滑市民の所得は横ばいです。市民の所得と消費の停滞のもとで、イオンの進出は、地域商店の衰退と「買い物難民」の増大につながるおそれがあります。
前島は空港同様に埋立地です。巨大地震や大津波に備える防災の抜本的な再検証が必要です。大規模集客施設にきびしい条件です。
財政負担
―イオン進出は企業庁や常滑市の財政にプラスになるか。
イオンが企業庁に払う借地料は企業庁が収支計画で予定した賃貸料の半分から3分の1と見られています。収支計画が絵に描いたモチになるほどの大まけです。
常滑市は、イオンにたいし23億円もの立地促進奨励金を払うという形で、その分の固定資産税や都市計画税をまけてやります。
一方、イオン進出にともなう街路整備などの支出は多額です。地代も税金も大まけのうえ、関連公共事業におカネを使うのですから、財政にプラスになるとは思えません。
自力育てよ
―自治体の政策は。
県と自治体は、空港依存や大企業頼みでなく、地域の自力を育てるべきです。
地域住民の生活向上と地元の中小企業・業者、農漁業を振興する経済政策を重視することが求められます。