愛知民報

【11.10.09】看護師の16時間勤務改善を 医師・看護師・介護職員が11月12日に大宣伝 

睡眠もとれない

 病院で働く看護師の2交代・長時間労働が増加しています。看護師の離職は年間12万5000人にも及びます。16時間以上の長時間夜勤、睡眠時間もとれない勤務間隔、減らない夜勤回数に、医療事故への不安と患者の命を守るために懸命に働いて燃え尽き、きびしい状況です。

 2交代勤務は、厚生労働省が1996年に変則労働時間制を看護職場に拡大し、民間病院を中心に導入されました。愛知県では春日井市民病院、西尾市民病院、名古屋医療センターなど公立病院にも広がっています。

 愛知県医療介護福祉労働組合連合会と日本自治体労働組合総連合愛知県本部がこのほど行った夜勤交代制学習交流会では、仕事のきびしい実態が生々しく語られました。

 春日井市民病院は12病棟中8病棟で2交代制を実施。看護師は「夕方4時に出勤し翌朝9時まで勤務。制度では夕食、朝食、深夜等の休憩時間が保障されているが、ナースコールや患者の容態急変などで休憩できない」と発言しました。

 名古屋市の民間病院の看護師は「16時間勤務後は残業で、午前10時頃まで帰られない。3交代の時より疲れがたまる。休日は、家でボーッとしている」と訴えました。

 講演した労働科学研究所慢性疲労研究センターの佐々木司主任研究員は「看護師など長期間の夜勤経験者はがん発生のリスクが非常に高い。2交代制は夜勤中の眠気や疲労感が3交代制より強く、医療事故の危険性が高まる」と指摘しました。

 日本医労連は、2交代勤務導入反対、1回の夜勤時間は最長8時間、一定の夜勤間隔(12時間以上)の確保、常日勤労働者(週40時間)より短い労働時間(週32時間)などの改善を求めています。

 愛知では11月12日(土)午後1時半から名古屋市中区栄のバスターミナルで、人員不足に苦しむ医師や介護士らと、数百人規模の「医師・看護師・介護職員ウェーブ(大宣伝)」を行い、県民にアピールします。

「仕事やめたい」8割も

 日本医労連の「看護職員の労働実態調査」(2010年)では「仕事を辞めたい」が8割。理由は、「人手不足で仕事がきつい」46・1%、「賃金が安い」37・0%、「休暇が取れない」35・4%、「夜勤がつらい」30・5%、「仕事の達成感がない」30・5%―などです。

 「慢性疲労」は7割以上。「健康に不安」51%、「大変不安」11%、「健康だ」34%となっています。

県民との共同広げる 愛知県医労連 西尾美沙子書記長

 
 民間病院から自治体病院へと2交代制が広がる背景には病院の営利優先、コスト削減があります。変則労働時間制により残業代を払わなくてよくなり、2交代は深夜帰宅がないので、タクシー代も節約できるのです。

 結局、このしわ寄せは、入院患者と看護師が受けます。

 大切な命を守って16時間以上も働くのは日本だけです。ようやく国は夜勤・交代制労働の改善通知を出し、国・県の人材確保の責任を明確にしました。

 医療・社会保障最優先の政治を実現しなければなりません。他の医療関係団体や労組と団結し、県民との共同を広げたい。医療・社会保障予算を増やし、医師・看護師・介護職員等を大幅に増やすことが必要です。

 【3交代制】=昼間勤務の「日勤」、夕方から午前0時頃までの「準夜勤」、午前0時頃から翌朝までの「夜勤」。
 【2交代制】=朝から夕方まで8時間勤務の「日勤」、夕方から翌朝まで16時間勤務の「夜勤」。