愛知民報

【11.08.28】どうみる?地域委員会 福祉の民間まかせは許さない 日本共産党 山口清明名古屋市議にきく

住民自治発展の力に

 日本共産党名古屋市議団は「地域委員会」について、市が行うべき仕事を住民まかせにする「河村構造改革」の受け皿にされる危険性と、住民自治の新しい仕組みとして発展する可能性の両面から検討を深める必要があると考えています。

 河村たかし市長は道州制を導入し、「中京都」といった広域自治体が大型開発事業をおこない、地域委員会に福祉を担わせようと考えています。

 市長の「地域委員会」論には、公的福祉制度の縮小・解体のテコに位置づける市長の考え方があることを、しっかり押さえておく必要があります。

 日本共産党議員団は数値目標を掲げて上から地域委員会拡大を押し付けるやり方を、議会論戦を通じてやめさせました。

 市内8区8学区で、地域委員会のモデル事業が行われ、今年度で終了します。小学校区に設けられる地域委員会は住民の投票で選ばれた7~11人の委員が、年間500~700万円の予算の使い道を市長に提案します。

 地域予算の内容は防災・防犯、歴史的建造物の調査、イベント、健康増進活動など多岐にわたっています。

 日本共産党は7月臨時議会で、地域委員会を市民的に検証するため意見交換会を開く補正予算に賛成しました。市長案にお墨付きを与えたわけではありません。

 地域委員会は市長の思いとは別に、住民のかかわり方と活用しだいで、住民が自主的に地域のことを考える場になる可能性もひめており、住民本位のまちづくりと行政民主化に役立ちます。予算も保障して地域の要望をくみ取って活動すれば、多彩な草の根の活動の力にもなります。

 住民自治の基礎組織である町内会・自治会を、民主的に発展させていく契機にもなります。そのためには、学区連絡協議会など地域団体との連携協力も必要となります。

 河村市長は地域委員会を「ボランティア議会」と言いますが、本物の議会ではありません。地域委員会には議会が持つ予算や条例の議決権、行政監視権はありません。執行機関の一部として限定された予算の使い道を市長に提案する組織です。

民主的議論と検証を

 また、地域委員選挙の投票参加が有権者の9%程度という状態の改善も求められます。
モデル実施された8つの区で意見交換会が開かれています。地域委員会と住民自治の新しい仕組みにするためには、市民・議会・行政の民主的議論と検証が必要です。そういった議論の過程そのものが、名古屋市の住民自治を発展させていくものになると思います。