愛知民報

【11.07.03】災害医療 大丈夫か 公立・公的病院切捨てで 細る住民の命綱

 
 東日本大震災で多くの病院が機能を失いました。東海・東南海・南海の3連動地震が予想されるなか、災害時の愛知の医療体制について取材しました。

 県内には災害発生時に救急医療の拠点となる災害拠点病院に33カ所が指定されています(別表)。

 拠点病院の指定条件は耐震耐火構造の建物、医療資材の備蓄、自家発電機保持、ヘリポートの確保などです。33病院のうち重篤患者の救急診療を担当する救命救急センターは15カ所。多くは公立もしくは、公的病院です。

 6月25日、愛知県社会保障推進協議会(社保協)が開いた「地域医療を守る交流集会」で県内の災害拠点病院の現状と問題点が報告され、東日本大震災の状況から海岸部にある災害拠点病院の津波浸水や液状化の危険が指摘されました。

 愛知県作成の防災マップによると東海・東南海地震が発生すると伊勢湾・三河湾の水位は2~3メートル上昇するとしています。

 揺れによる地盤の液状化も想定されます。マグニチュード8級の地震による液状化危険度が三河湾、衣浦湾、海部地域が極めて高いとされる地域です。この地域には豊橋市民病院、半田市民病院、海南病院などが含まれています。

 今年3月発表された愛知県地域保健医療計画は「災害保健医療対策」が含まれていますが、3連動地震は想定していません。3連動地震を想定したものに見直し、病院を十分機能させることが求められています。

 災害時の地域医療の中心になる公立病院の統廃合、民営化、医師不足による診療科縮小もおこっています。

 東三河北医療圏唯一の拠点病院である新城病院は医師不足が深刻で救急患者の受け入れが減少しています。

 社保協の久保田武副議長は「公的病院つぶしを止めさせ、地域医療の充実で、災害にも対応できる地域づくりを」と呼びかけました。

愛知県災害拠点病院







名古屋 名古屋市立東部医療センター
名古屋第一赤十字病院
国立病院機構名古屋医療センター
名古屋第二赤十字病院
名古屋大学医学部付属病院
名古屋市立大学病院
名古屋掖済会病院
中部労災病院
社会保険中京病院
名古屋記念病院
海部 津島市民病院
厚生連海南病院
尾張東部 藤田保健衛生大学病院
愛知医科大学病院
公立陶生病院
知多半島 半田市立半田病院
厚生連知多厚生病院
尾張西部 厚生連尾西病院
一宮市立市民病院
総合大雄会病院
尾張西部 厚生連江南厚生病院
小牧市民病院
春日井市民病院
西三河北 厚生連豊田厚生病院
トヨタ記念病院
西三河南 岡崎市民病院
刈谷豊田総合病院
厚生連安城更生病院
西尾市民病院
東三河北 新城市民病院
東三河南 豊橋市民病院
国立病院機構豊橋医療センター
豊川市民病院