愛知民報

【11.06.05】陸上自衛隊第10師団(守山自衛隊)戦闘服で通勤命令 “軍国化”に市民不安 

 「日米同盟の深化」を掲げる民主党政権のもとで、県内に駐屯する陸上自衛隊の海外派兵体制が強まっています。名古屋市守山区に司令部を置く陸上自衛隊第10師団では核戦争に対応する化学防護車など装備が強化され、市街地での訓練が日常的におこなわれるようになっています。
 

戦略機動師団

 陸上自衛隊第10師団は2004年3月に「戦略機動師団」に位置づけられ、翌年2月「復興支援」の名目でイラク戦争に派遣されました。07年度に同師団の豊川駐屯地に第49普通科連隊(定員1100人)を新設。08年度に第10後方支援連隊(春日井駐屯地)の定員を500人から1000人に倍加。師団の総定員は7000人から9000人に増えました。

 軽装甲機動車や高機動車、120ミリ迫撃砲などの新しい装備・兵器が配備されました。

核・化学戦

 核戦争や化学兵器に対応する化学防護隊(隊員60人)が08年に発足しました。放射線量測定器や神経ガス検知器を装備した化学防護車が配備されました。同隊は昨年10月、名鉄名古屋駅で化学剤テロ対処訓練をおこなっています。

市街地訓練

 09年6月に新築された、地下1階、地上7階建ての師団司令部本庁舎には、屋上に連絡用中型ヘリコプターが離発着できるヘリポート、海外とも交信できる通信室、海外派兵時の人選や体制を準備する「海外派遣支援準備室」が設置されました。

 海外派兵と市街戦を想定した訓練が日常的におこなわれています。

 同師団小幡運動場に09年、2棟のレンジャー訓練棟が建設されました。屋上から垂直降下しながら銃撃する市街地での「対テロ」訓練が実施されています。

 迷彩服(自衛隊では「戦闘服」と呼称)に小銃を携帯しての市街地訓練は守山駐屯地だけでも昨年100回を超えました。5月17日には約100人の新人隊員が朝から夕方まで守山、北、東区で行進訓練をしました。

臨戦態勢?

 09年、師団長は隊員の「戦闘服通勤」を命令。以前は私服通勤者もいましたが、それ以後、全隊員が戦闘服で通勤しています。

 朝夕の名鉄瀬戸線の電車は戦闘服姿の隊員で満員の状況も。女性隊員は戦闘服姿で保育園や学童保育所に子どもを送迎しています。

抗議の声を

 守山平和委員会の城下英一さんは「東日本大震災の被災地救援活動で自衛隊を好意的にみる傾向があります。これを利用した海外派兵訓練は許されません。抗議の声をあげましょう」と話しています。