愛知民報

【11.04.17】震災対策強化に逆行 消防広域化 本部数37→11に

 東日本大震災を受け、発生が予測される東海地震などの巨大地震対策の見直しと強化が求められています。震災時の消火と被災者救援にあたる愛知県内の消防体制を取材しました。

職員、機材の増強急務

 愛知県がまとめた愛知県消防年報2010年版によると、地域消防団は342、分団は577。減少傾向が続く消防団員数は2万4017人(前年比194人減)で過去最低になりました。

 消防ポンプ自動車は前年より2台減り626台、はしご車は1台減の90台、化学消防車は2台増の66台となっています。

 総務省消防庁が定めた消防力の基準に対し、消防職員の県平均充足率は7割にとどまっています。

 名古屋市は1995年の阪神大震災を教訓に96年度から消防職員を2266人から99年度には2291人に増やしました。

 しかし、04年度から削減をはじめ、昨年度は2268人にまで減りました。基準(2459人)に対し消防職員の充足率は92%となっています。

 大都市よりさらに深刻なのは中小都市です。春日井市では国基準は340人ですが現在は294人。46人不足(充足率86%)しています。

 衣浦東部広域連合(知立市、安城市、刈谷市、碧南市、高浜市)の現職員は418人。基準の710人から292人(充足率58%)不足しています。

 消防ポンプ自動車(2本のホース装備)は火災出動時は5人乗務ですが、消防士不足のため4人乗務の出動もしばしばあり、ホース1本で消火する事態もおきています。

 愛知県は、名古屋市を除く県内37の消防本部を11に統合する消防広域化を推進しています。

 県内で東海・東南海地震の想定震源域にもっとも近い東三河地方の場合、豊橋、豊川、蒲郡、新城、田原各市に合計5つある消防本部を豊橋市の本部1つに統合するとしています。

 消防関係者は「広域化すれば消防車など緊急車両は最高で3時間以上もかけなければ到着できない地域が生れる。大震災が発生すれば道路破損で遠隔地に行けない」と指摘しています。

 県内の日本共産党地方議員(団)は、国やや県は広域化を進めるのでなくも消防資機材や消防職員の充実に力をいれるべきだと主張しています。







消防資機材の保有状況(単位;台数)
区分 保有数 前年度比較
  2010年 2009年
消防ポンプ自動車(水槽付き含む) 626 628  △2
小型動力ポンプ車 1566 1573  △7
はしご車(屈折含む) 90 91  △1
化学車 66 64 2
救急車(高規格含む) 245 244 1



県が示した消防広域化枠組み案

 

【消防広域化計画】

 2006年6月に施行された改正消防組織法は市町村消防の広域化を打ち出し、総務省消防庁は07年7月、「人口30人以上の規模」を目標に消防本部の再編成を図る基本方針を示した。愛知県は07年9月、37ある消防本部を9にする案を市町村に提示。反対が強く08年1月に11に変更した。