愛知民報

【10.08.08】名古屋市政 記者座談会 「議会解散・リコール」に大義あるか

市長の言いなり議会づくり

 A 名古屋の河村たかし市長が「議会解散」を請求する署名収集活動を8月27日に始めるという。必要署名数は36万5000。直接請求が成立し、住民投票で解散が過半数なら市議選になる。その場合、市長は辞職し、市議選と市長選の同時選に持ち込む。自ら市長選に出馬し、市議選には河村新党「減税日本」の候補者を多数立てる。時期は来年2月。知事選と重なる。河村市長は知事選にも候補者を出すと言っている。

 B 市議会に集団汚職のような不祥事があった訳でない。来年4月には定例市議選がある。「なぜ解散?」という疑問がある。市長は「今の議会では公約が実現できない」というが。

公約違反の恒久化

 C 最大の公約の「市民税減税」は今年度実施された。減税が「1年限り」か「恒久」かが75人の市議全員のクビを切るほどの大争点か。中日新聞の世論調査によると、「1年やってみて、継続するかどうか判断すればよい」は57・9%と多数だ。市長の言う「恒久減税でなければ意味はない」は26・3%にとどまる。福祉削減や財政悪化を心配する声は強い。

 A 河村減税は市長選マニフェストとも違う。「定率減税(金持ちはゼロ)」の公約に背く大企業・金持ち優遇だ。勤労市民に減税の実感は弱い。赤字の中小企業に恩恵はほとんどない。

 B 「議会解散」は、公約違反の金持ち減税の恒久化にお墨付きを与えることになってしまう。共産党市議団幹事長は「今こそ市民の暮らし守るとき。解散に大義名分はない」と発言している。

民主か独裁か

 C 市民が議会解散を請求することは大事な直接民主主義の権利だが、市長は“言いなり議会”づくりの手段にしようとしている。

 A 憲法の地方自治制度は議会と首長の二元代表制をとっている。河村市長はこれを否定し、市長の強権化をめざしている。「解散」問題は民主政治か独裁政治かも問いかけている。