愛知民報

【10.06.20】市議報酬 市民参加で引き下げ検討を 日本共産党が公開シンポ 名古屋市 

河村「改革」に警戒の声も

 
 日本共産党名古屋市議団は11日、議員報酬のあり方をテーマとした議会改革シンポジウムを開きました。約60人が参加。市民、学者、議員が、議員活動と報酬をめぐり活発な討論をおこないました。

 議員の定数・報酬半減を柱とする河村たかし名古屋市長の「議会改革」論に、市政への民意反映を妨げるとして強い警戒の声がでました。

 江上博之市議、本秀紀・名古屋大学教授、池住義憲・立教大学大学院教授がパネリストを務めました。

 江上氏は、フルタイムの活動が求められる議員生活の実情を紹介。「報酬の引き下げ額は市民参加・市民公開の第3者機関で検討すべき」と、市民参加の決定過程を強調。

 憲法学者の本氏は、ドイツを例にとり、議員に支給される費用が「経費補償」から「所得保障」に変化した背景には、富裕者だけでなく、すべての人の参政権を実質的に保障する民主政治の発展があると話しました。

 池住氏は、河村市長の議員定数・報酬半減の「議会改革」は、市長と議会の二元代表制を崩し、市長の権限強化につながると警告。「議会を守る」運動を呼びかけました。

 出席した市民からは、「市議の年間報酬1500万円は年金生活者から見ると高い」

「議員の役割や議員活動の内容との関係で報酬を考えるべき」「生活費と議員活動費を明確に分けるべき」などの意見が出ました。

 「他の政党とちがい、今夜のシンポジウムは公開で共産党は立派」「本日のようなシンポジウムはどんどん開いてください」という声がありました。

本秀紀 名古屋大学教授

 
 かつては議員歳費は議員活動にともなう超過経費に対する補償でした。現代では、民意を国政に反映するためフルタイムで従事する職業政治家になっています。歳費は議員とその家族の扶養費です。国家が議員に歳費を支給する理由は、経済状況に関わりなく、すべての人が同等に政治に参加する権利を実質的に保障するためです。

池住義憲 立教大学大学院教授

 
 河村市長の議員報酬半減は、定数半減とセットです。市長の権限強化という目でとらえることが大切です。民主主義の根幹の破壊に直結する問題です。全国的に首長優先の動きがありますが、首長と議会の二元代表制を守り抜き、市民のための議会に作り変える動きも始まっています。私たちの力で議会本来の役割を取り戻そう。

江上博之 日本共産党名古屋市議

 
 日本共産党市議団が取り組んできた政務調査費の領収書全面公開や費用弁償の廃止が実現しました。河村市長は「議員報酬半減」の条例案を6月議会に提出します。市長の押し付けにも議会のお手盛りにも反対です。日本共産党は6月議会に、「名古屋市議会の議員報酬の額を市民参加・市民公開で検討し定める条例」案を提出します。